研究課題/領域番号 |
17J40129
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大山 薫 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 特別研究員(RPD) (30713044)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 睡眠 / ネットワーク / ニューロン |
研究実績の概要 |
[学術雑誌への投稿] 採用1年目の研究の成果を国際学術雑誌に再投稿するために準備を行った。研究目的である、「睡眠・覚醒時の神経ネットワーク」を解析するためにカイ二乗検定を使っていたが、entropyの解析(シャノンの法則)を用いてスパイクシークエンスのランダム性を調べる方法に変更した。entropyの解析を個々の細胞の発火パターンに適用すると、睡眠時の発火パターンは覚醒時と同様の多様性を有していることが分かった。一方、細胞集団(ネットワーク)の発火シークエンスに対してentropyの解析を行うと、睡眠時の発火シークエンスは覚醒時と比べてよりランダムな発火をしていた。これらの結果は、睡眠時の神経細胞は覚醒時と同様に活動性が高いが、細胞同士のつながり、ネットワーク、は弱くなっていることが示唆される。 [オプトロードの開発] 採用2,3年目の研究実施計画では、採用1年目で確立した「睡眠・覚醒時の神経ネットワークの解析方法」と分子生物学を組み合わせた実験を計画していた。近年の研究の進捗や新たな発見に伴い、今後はオプトロードを用いてレム睡眠の制御に必須の脳幹の細胞核群の活動の制御と細胞外電位の記録を行うことにした。そのため、光刺激と、刺激を行った部位の近傍の細胞外電位を記録するためのオプトロードを作成した。今後はAAVウイルスを用いて脳幹の細胞群に光感受性のチャネルロドプシン2を発現させ、オプトロードを用いて活動の制御と記録を行うことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成30年8月1日から、気管支喘息を発症し病気休養のために採用を中断したため。 採用2,3年度に計画していた、アデノシン系の抑制・促進の研究だが、当初使用する予定であった、テキサスサウスウェスタン大学のGreene研究室が作成していたアストロサイト特異的にアデノシンキナーゼを欠損したマウス(AdK floxwd; GFAP-Cre)の系が予定していたように機能しない、すなわち学術論文として発表できないことが分かった。そのため研究の計画変更を余儀なくされ、オプトロードの開発をするに至った。
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今後の研究の推進方策 |
採用2,3年度に計画していた、アデノシン系の抑制・促進の研究だが、当初使用する予定であった、テキサスサウスウェスタン大学のGreene研究室が作成していたアストロサイト特異的にアデノシンキナーゼを欠損したマウス(AdK floxwd; GFAP-Cre)の系が予定していたように機能しない、すなわち学術論文として発表できないことが分かった。 そこで、近年の神経科学界で主要な手法となりつつあるオプトロードを用いてレム睡眠の制御に重要な脳幹の細胞核群の活動の記録および活動の制御を行う。 オプトロードは光刺激と細胞外電位記録を同時に行うことが可能である。AAVウイルスを用いて脳幹の細胞核群に光感受性遺伝子のチャネルロドプシン2を発現させる。発現させた部位にオプトロードの埋め込み、および睡眠判定を行うための脳波・筋電記録電極の埋め込み手術を行う。 研究計画の変更にあたり、レム睡眠の制御に重要な脳幹の部位を特定した研究室に所属を移動する。従って、移動先の研究室メンバーと活発な議論や情報交換が可能である。所属の移動は同じ研究機構内で行うため、これまで用いてきた実験機器は変わらず使用することができる。
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