研究課題
Polydomはリンパ管発生に重要な細胞外マトリックス(ECM)であり、ノックアウト(KO)マウスは、胎児期に重篤なリンパ浮腫を起こし、出生直後の呼吸不全で死亡する。我々はKOマウスの解析中にpolydomがリンパ管内皮成長因子のアンジオポエチン-2(Ang2)と結合することを見出した。そこで本研究では、polydomとAng2との相互作用機構の解析と、polydomがリンパ管内皮細胞に与える影響を解析を通して、polydomがリンパ管の発生に寄与するメカニズムの解明を目的とした。平成30年度までに、polydomのN末端から数えて21番目のCCPドメイン(CCP21)に存在する2617番絵のヒスチジンと2619番目のアスパラギン酸がAng2との結合に重要であること、Ang2受容体であるTie2とpolydomは直接結合しないが、Ang2を介して間接的に相互作用することを明らかにしていた。令和元年度では、polydomが培養ヒトリンパ管内皮細胞(HDLEC)の運動能へ与える影響について、トランスウェルチャンバーを用いた解析を行った。その結果、コラーゲン、フィブロネクチンなど、他のECMを培地に添加した条件でHDLECはほとんど移動しなかったのに対し、polydom存在下では移動細胞数が著しく増加していた。各ECM蛋白質へのHDLECの細胞接着活性を調べたところ、コラーゲン・フィブロネクチンなどと比較して、HDLECはpolydomへの接着活性が弱いことがわかった。また、チャンバーの下面をあらかじめフィブロネクチンでコートしてからウシ血清アルブミンでブロッキングし、培地中のpolydomがチャンバーへ吸着できない状態にしても、細胞移動促進効果は認められた。以上から、polydomはHDLECの接着足場因子としてよりも、走化誘引因子として機能していることが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Dermatrogical Science
巻: 96 ページ: 73-80
https://doi.org/10.1016/j.jdermsci.2019.09.005