研究課題/領域番号 |
17J40221
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
田中 絵実 名古屋大学, 脳とこころの研究センター, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 多感覚統合 / ヒト脳磁場活動 / 変化検出 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、脳磁図(MagnetoencephJography MEG)を用いて、多感覚環境下での刺激変化検出と感覚系間統合を支える脳機能ネットワークのダイナミクスを解明することを目的としている。そのために3つの下位課題を設定し、年度毎に下位課題を1つずつ実施する計画であった。 本年度の課題(下位課題1)は、単一感覚刺激墾化と複数感覚刺激変化に対する脳反応の差異について、加算法モデルという実験パラダイムを用いて検証することであった。加算法モデルとは、脳波の誘発反応などを指標にした複数感覚入力に関する研究で用いられてきたモデルで、例えば聴覚刺激と視覚刺激を用いた場合、それぞれの単一感覚刺激入力に対する脳反応2つを足した加算反応と複数感覚刺激入力に対する脳反応を比較して、両者の間に差があれば非線形的な相互作用効果があったと判断する、というものである。本実験では、刺激入力だけでなく、刺激変化に対しても感覚系間の相互作用効果が認められるかを明らかにするため、変化刺激を用いて実験を実施した。継続的な刺激提示中の視覚刺激変化、聴覚刺激変化、視聴覚同時変化に対する脳磁場活動を13人の健常被験者から計測し、得られた脳磁図データについて誘発反応解析をおこなった。その結果、時間帯によって異なる相互作用効果が認められた。また、最小ノルム推定法を用いて信号源推定をおこなった結果、非常に多くの脳領域に有意な相互作用効果が認められ、その時間的な変遷も明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下位課題1のデータについて、周波数領域における相互作用効果の検証を進めようとしているが、周波数データに対する単純な加算法モデルの適用には問題があることが判明したため、本実験データの周波数解析の進め方については、共同研究者と検討中である。解析と並行して、下位課題2にも着手している。よって、本年度の進捗状況としては、おおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
下位課題1に対する周波数解析を進めながら、並行して下位課題2と3つ目を進めていく。解析法によってはデータ量の多さから非常に多くの時間を必要とするため、可能な限り並行して解析を行えるように工夫することで、より効率よく研究を推進して行きたいと考えている。
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