研究課題/領域番号 |
17J40230
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
東 智美 法政大学, 法学部, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2020-03-31
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キーワード | 土地制度 / 小規模農民 / ラオス / 資源管理政策 / 森林保全 / 焼畑農業 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、まず、ラオスの土地制度に関する先行研究レビューを行なった。ラオスの土地制度について先行研究の議論を整理するとともに、国際機関・NGOの援助の動向に注目して、土地制度改革の変遷を跡付けた。 次に、ラオスにおいては、2017年8月に、中南部の地域住民による森林・湖沼の天然資源の共同管理のあり方について調査を行った。2018年3月には、ラオス北部ウドムサイ県において、土地利用権交付の現状、換金作物栽培(特に輸出用バナナ)の拡大と政府による規制が地域住民の土地利用に与える影響について、村の権力者層、小規模農民、移民労働者等への聞き取りを行った。また、地方農林事務所を訪問し、地方レベルの森林管理政策や農業普及政策についての聞き取りを行った。さらに、2017年12月及び2018年2月、天然資源政策局の組織改編と、開発事業に伴う社会環境影響評価の実施体制について、ラオス天然資源環境省天然資源政策局の職員に電話でインタビューを行った。 比較対象として、2017年9月、タイのチェンラーイ県において、タイの農村における営農形態の変化と、水資源管理における住民組織の役割についてのフィールド調査を行ない、研究成果を元に日本学術振興会の科学研究費助成事業(若手研究)に応募し、次年度の新たな研究資金獲得につなげることができた。また、2017年12月、滋賀県の愛知川沿岸土地改良区を訪問し、土地改良区事務所や湖東平野水利事業事務所、受益者コミュニティーからの聞き取りを行ない、日本における政府主導の土地改良事業と、その下での住民組織による資源管理の課題を明らかにした。 これらの研究成果を、東南アジア学会研究大会及び日本タイ学会定例研究会、一般公開のセミナー等で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地受入機関との調整や天候等の理由で、フィールド調査の開始に遅れが生じたものの、年度内に予定していた調査をすべて実施し、ラオス北部の農業投資事業による地域の小規模農民の土地利用や労働パターンの変化を明らかにした。また、比較対象として、北タイや日本の農村部におけるフィールド調査も実施することができた。 また、これまでの研究成果を、学会報告等のかたちで発信することもできた。 予定していた論文の執筆については、やや遅れたが、次年度には学会誌に投稿する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
二年目の前半には、一年目の研究成果を受けて、国内の学術誌に投稿するための論文を執筆し、投稿する。また、海外農業投資とそれに伴う土地問題に関する先行研究の分析を行い、ラオスで中間報告を行う。二年目の後半は、ラオスにおいて、フィールド調査、聞き取り調査、二次資料の収集を行う。 当初、ラオス国立農林業研究所に客員研究員として半年間在籍し、研究を行うことを予定していたが、諸事情により、長期間日本を離れることが難しくなった。そのため、二度に分けて現地を訪問することとし、計画通り資料収集・フィールド調査を実施する。
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