研究実績の概要 |
当該年度は,トランプカードを用いた金持ち比べプロトコルをTheoretical Computer Science誌に掲載し,その一般化のランキング秘密計算をカード組で実現し,国際会議COCOA 2019で成果を公表した。また,パズルに対するカードベースのゼロ知識証明の開発に力を入れ,Kakuroに対する成果をIEICE Trans. Fundamentals誌に,Norinoriに対する成果をCOCOON 2019で,Slitherlinkに対する成果をISPEC 2019で,TakuzuとJuosanに対する成果をFUN 2020で,Sudokuに対する新しい成果をTheoretical Computer Scienceに公表している。計算限界の解明として,ランダムカットのみを用いたXOR計算について解析し,成果はAPKC 2020で公表される。また,様々な種類のカード組の下での計算可能性の成果をFAW 2019で公表した。実利用への適用として,本年度も一般市民の方々にカードベース暗号の実演を行い,フィードバックを基に能動的攻撃についての示唆を得て,新しい攻撃モデルを確立し,成果をTPNC 2019で公表した。また,光を利用した教育的な暗号プロトコルを構築し,WISE 2019にて公表した。さらに,重要なシャッフル操作の実装に関する成果がInternational Journal of Information Security誌に掲載される。 期間全体を通して,計画に記載していた通り,プロトコルの開発,計算限界の解明,実利用への適用という三本柱を有機的に連携させ,カードベース暗号の研究分野を深化させた。三年間で査読付論文が24本であり(全てScopus収録),トップ10%論文には5本が該当する(Scival,field-weighted,2016-2019, 対象20本)。
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