最大クリーク抽出は多くの実応用問題解決に対して有用であるがNP困難問題であり,一般的には求解に非常に長時間を要する.最大クリーク厳密解抽出の分枝限定アルゴリズムに対するこれまでの研究により,最大クリークの近似解が非常に有効に活用出来ることを明らかにしてきた.その近似精度が良くなれば分枝限定はより有効に働く.しかし,近似解抽出のために時間を要すると,総実行時間としては必ずしも短縮とはならず,近似精度と時間との兼ね合いが重要となる.そこで先ず,最大クリーク近似解の抽出を一層高速化し,その上で精度を向上させることにより,総合的に最大クリーク厳密解抽出を効率化した. 続いて,分枝限定のために近似彩色だけでなくMaxSATも用いることにより分枝限定がより強力化されることをこれまでに確認してきたが,MaxSATあるいはその簡略形実行のためのオーバーヘッドの大きさが最大クリーク厳密解抽出総実行時間短縮の妨げとなっていた.これに対しては,MaxSATの簡略形と従来提唱してきていた再番号付け(再彩色)との類似性に着目して両者を融合させることにより,これまでよりも少ないオーバーヘッドによって,有効な分枝限定効果を発揮出来るようにした.さらに,分枝限定アルゴリズムの内部動作は入力グラフの特徴に応じて効率が左右されるため,出来る限り効率がより発揮されるようにと内部動作を適応的に切り替えるようにした. 以上を総合することにより,最大クリーク厳密解抽出のための従来の分枝限定アルゴリズムを有意に高速化することに成功した. このような最大クリーク厳密解抽出アルゴリズムは,容易に最大クリーク全列挙アルゴリズムへと拡張出来る.これにより,符号理論における最良な多元単一削除訂正符号の構成に関しての新たな知見を得ることが出来た.また,極大クリーク全列挙問題についても理論的,実験的に検討を行い,有効な進展結果を得た.
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