研究課題/領域番号 |
17K00013
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
藤戸 敏弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00271073)
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研究分担者 |
藤原 洋志 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80434893)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 頂点除去問題 / 近似アルゴリズム / 制限次数除去問題 / パス頂点被覆 |
研究実績の概要 |
グラフの頂点除去問題とは,入力グラフから取り除くと,グラフが所与の特性をみたすような頂点集合の中で,コストが最小なものを計算する問題の総称であり,グラフに関する多くの基本問題を含む.本研究では,制限次数除去問題およびパス頂点被覆問題を具体問題とし,それらに対する高速近似アルゴリズムの設計に取り組んだ. 制限次数除去問題では,グラフGおよび各頂点の次数制限が与えられ,Gから削除すると,残っているどの頂点も次数制限をみたすようなGの頂点集合の中で,最小コストのものを計算する問題である. 1.本研究では,次数制限をみたすGの部分グラフの辺集合が2-ポリマトロイドを形成することに着目し,同問題を劣モジュラ被覆問題へ還元して近似する方法により,最大次数制限が5以下の場合に,従来手法による近似保証を改善できることを示した. 2.本研究では次数制限除去問題を有向グラフ上の問題へ拡張し,その近似可能性について検証した.その結果,1)すべての頂点について入次数,出次数ともに制限されている場合,無向グラフにおいて知られている最良の近似保証を有向グラフ上の場合へ拡張できること,2)全頂点ではなく,一部頂点のみが次数制限される場合,最大次数制限より良い近似度を保証することはNP困難となるのに対し,入次数のみが部分的に制限される場合は,最大次数制限+1の近似保証が可能であること,を示した. kパス頂点被覆問題では,入力グラフGから削除すると,k頂点上のパスが残らなくなるようなGの頂点集合の中で,最小コストのものを計算する問題である. 3.本研究では,更に連結グラフを誘導するような解(頂点集合)を求める問題について考え,重みなしの場合はk倍近似可能であり,重みつきの場合はkが3以下であればnの対数オーダーで近似可能であることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,大規模データ処理アルゴリズムの理論保証に関し,主にグラフの頂点除去問題に対する高精度近似アルゴリズムの設計および性能解析,または実現可能性・不可能性を中心に研究を進めており,その結果「10.研究発表」に挙げられるような成果が得られている.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降も引き続き,29年度の理論研究成果を発展させつつ, ・数理計画法に基づく系統的設計法の開発 ・近似アルゴリズムの基本技法や確率的ラウンディング法など,他の汎用テクニックの有効性についての検証 などのテーマにも取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張その他の用務により,国内での情報収集・意見交換・成果発表のための時間があまりとれず,本研究に係る出張の回数が当初予定していたほど増えなかったことが理由の一つと考えられる. 本年度は他用務とのバランスに注意しながら,当初計画を達成できるよう,特に参加するだけでも有用な情報の得られることが多いアルゴリズム研究会(情報処理学会)ならびにコンピュテーション研究会(電子情報通信学会)への参加を増やす予定である.
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