研究課題/領域番号 |
17K00037
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
森口 聡子 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (60407351)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 離散凸解析 / 離散凸関数 / 緩和法 / 割当て問題 / スケジューリング / ソーシャルディスタンス / テレワーク |
研究実績の概要 |
離散最適化に対して,スケーリング技法を軸とするアルゴリズム効率化のための理論体系を構築することを目的とし,また理論の応用を見据えて,研究を推進した.スケーリングとは,定義域の偶数点のみを見る,などのように,目盛を間引いた関数近似の導入で効率化を図る技法で,古典的なネットワークフローや資源配分問題で多くの成功例が知られている.離散凸解析のこれまでの研究により,いくつかの離散凸関数最小化に対して,スケーリング技法の有効性と近接定理による理論保証が明らかになっている.本研究では,これまでスケーリング技法や近接定理について考えられていなかったより広い離散関数のクラスに対する拡張と理論構築を試み,効率的なアルゴリズムが構築可能なクラスの解明を進めていった. 応用研究として,ソーシャルディスタンス調整を伴うオフィスワーク管理の研究を実施した.新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の緊急的な対策として,企業はいわゆる「3 密(密閉・密集・密接)」を避けるためにテレワークの導入を迫られた.オフィスへの通勤が可能とされても,専門家会議が提言した「新しい生活様式」に対応した働き方が各企業に求められ,総務や管理部門にとって喫緊の課題となったのが,感染リスクが高い従来型のオフィス空間のレイアウト変更であった.テレワークを活用しながら,出勤者のソーシャルディタンスを確保したオフィスワークの管理について,離散最適化手法による実現に取り組んだ.業務内容や就業規則による制約,社員のテレワーク希望日等の要望に基づく出勤計画を踏まえつつ,出勤者同士のソーシャルディスタンスの確保と業務内容による要請を満たす座席配置を離散最適化問題でモデル化,最適化し,オフィスワーク管理に実践できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,離散最適化に対して,スケーリング技法を軸とするアルゴリズム効率化のための理論体系を構築することを目的とし,様々な分野への発展を視野に入れている.具体的な応用として,緊急的に発現した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関連する課題をテーマとし,研究を推進した.その研究成果を発表し,おおむね順調に研究が進展した.一方で,急遽発言した課題には,継続的な精査と発展が望まれるため,引き続き研究を行いたい. 様々な分野への発展に寄与し得るソフトウェアについては,継続的に,離散凸関数の応用に関するデモンストレーションのWeb公開の整備を行っている.英語版への対応も行った. 以上より,前年度に引き続き,海外での計画見直しが必要となったものの,総じて,現在までの進捗はほぼ予定通りであり,研究計画は順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,応用研究では拡張を試み,理論研究では離散凸構造を有する色々な関数クラスとスケーリング近接性の関係を精査する.特に,新しいクラスである離散中点凸関数に対するアルゴリズムについては,重点をおいて研究とソフトウェア開発を進める予定である.ソフトウェア開発,公開に関連する部分では,ユーザーにとっての使い勝手に気を配りつつ推進する予定である.離散凸性判定の効率化に関する新しいアイデアの実装についても,完成度を上げる.その都度,成果を学会や論文誌で発表していく. 海外での研究活動見込みが厳しいが,リモートでの推進を工夫する
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予期し得なかったCOVID-19感染症の世界的拡大が未だ終息せず,出張の中止が発生し,出張旅費がかからなくなった.また,この影響は国内での共同研究の遂行にも若干の影響を与えた.研究を進めていく上で必要な経費を執行したが,当初の見込み額と執行額に差異が生じた. 次年度に,物品費に充てることとし,もし出張が再開できるようになれば国内・外国出張旅費に充当する予定である.
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