研究課題/領域番号 |
17K00050
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
栗原 考次 岡山大学, その他の研究科, 教授 (20170087)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 時空間データ / 同位相分類 / 集積性 / 複雑性 / 空間スキャン統計量 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、1.格子型空間データに対する構造の単純性・複雑性の評価、2.大規模放射能データの解析、3.小規模格子データに対する統計量の直接計算、に関する研究を集中的に行った。 1.では、1次元及び2次元規則的小規模格子データに対して、エシェロン樹木を利用した単純性・複雑性に関する構造分析のためのノンパラメトリック接近法について検討した。具体的には、1次元10セルの場合の特性値として、エシェロン樹木は3,628,800通り存在し、8つのエシェロン樹木のパターンに分類されること及びエシェロン樹木の階層やピークの数や階層のレベル数などの確率分布を直接計算により求めた。これらの結果は、2017年8月に東京で開催された国際分類学会において招待講演として公表された。 2.では、日本原子力研究開発機構(JAEA)が公開している福島第一原子力発電所近隣の帰還困難区域7村の2012年4月から2015年3月までの空間線量率ポイントデータに対して、クリギング手法を用いて未観測値の補間を行うとともに、時空間的観点から空間線量率が有意に高い領域(ホットスポット)の検出を行った。これらの結果は、2017年11月に杭州で開催された日中国際シンポジウムにおいて論文として公表された。 3.では、小規模格子データに対して、統計量の理論的な確率分布を求めた。具体的には、北海道大学の湊教授らとの共同研究において、ZDD法を用いることによりNorth Carolina 州の100郡の組合せからなる隣接ブロックを網羅的な数え上げを行い、幼児突然死SIDSデータに対して空間スキャン統計量が最大尤度(9セルまで)になるホットスポットの候補を検出した。これらの結果は、2017年12月にオークランド(ニュージーランド)で開催されたアジア地区国際計算機統計学会の招待講演として公表された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で掲げた平成29年度の実施計画である、1.格子型空間データに対する構造の単純性・複雑性の評価、2.格子型空間データに対するホットスポット検出、3.小規模格子データに対する統計量の直接計算、に関する研究については予定通り順調に研究が進んでいる。これらの研究成果は、国内外の学会における招待講演を含む研究発表や論文として随時公表している。4.ソフトウェアの開発については、空間データとデータの近傍情報を与えた格子型空間データに対して、エシェロンデンドログラムを利用したエシェロンスキャン法に基づくホットスポット検出を行うソフトウェアを開発中である。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降の研究は、1.格子型空間データに対する構造の単純性・複雑性の評価については、次元数の拡張及びセル数の増加させた下で、エシェロン樹木の総数及びパターン数の計算を行うとともに、エシェロン樹木の階層、ピークの数、階層のレベル数などの特性値の確率分布を直接計算により求める。これらの内容は、3.小規模格子データに対する統計量の直接計算、を含むものである。さらに、これらの信頼性・安定性を評価する手法についても検討する。2.格子型空間データに対するホットスポット検出については、時空間データの多変量化、さらに、研究計画で掲げた近傍情報の拡張した状況で、具体的データに対してエシェロンスキャン法を適用し、ホットスポットの候補を検出する。4.ソフトウェアの開発については、公開可能な状況にするための整備を進める。
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