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2019 年度 実施状況報告書

熱力学的視点によるBayes予測の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 17K00053
研究機関九州大学

研究代表者

大西 俊郎  九州大学, 経済学研究院, 教授 (60353413)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワードBayes予測問題 / 熱力学
研究実績の概要

確率分布の関数形を既知とし,未知パラメータを推定するのが推定問題である.よい推定法の考案は重要であり,特に,一般的によいとされる推定方法を改善することは意義が大きい.
推定問題の一般化である予測問題では,未知パラメータだけでなく確率分布の関数形も含めて推定する.推定結果の確率分布は予測分布と呼ばれる.Bayes統計学の枠組みで予測分布を求めるのがBayes予測問題である.予測の良さは,真の分布と予測分布との乖離度で測られる.乖離度としてよく採用されるのが,Kullback-Leiblerダイバージェンスと呼ばれる擬距離である.距離と違って対称性がないため,真の分布から予測分布へのKullback-Leiblerダイバージェンスは,予測分布から真の分布へのKullback-Leiblerダイバージェンスとは異なる.この2つを一般化したのがα-ダイバージェンスと呼ばれる擬距離である.
Bayes予測問題では事前分布を仮定する.事前分布とは,いわば未知パラメータに関するシナリオである.シナリオを決めると最良な予測分布(=Bayes予測分布)が1つ決まるが,別のシナリオの下では最良ではない.未知パラメータの値によらず一様に,ある予測分布が別の予測分布によって改善されることは稀である.このような改善は「頻度主義の意味での改善」と表現される.比較的によく使われる事前分布に無情報量事前分布と呼ばれるものがある.分散共分散行列が単位行列であるような多変量正規分布を考察の舞台とするとき,無情報量事前分布に基づくBayes予測分布は一定のよい性質をもつことが知られている.これを頻度主義の意味で改善することが今年度の研究テーマである.
考察の結果,事前分布などが一定の条件を満たすときに,当該事前分布に基づくBayes予測分布がターゲットのBayes予測分布を頻度主義の意味で改善することを明らかにした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予想していたより取り組んでいる研究課題が難しく,打開する方策を模索している段階である.また,2019年4月に所属している経済学研究院の副研究院長に就任し,学務多忙となったため,研究時間が大幅に制約された.

今後の研究の推進方策

引き続き,Bayes予測問題におけるα-ダイバージェンス損失の下でのStein現象の解明に取り組む.2020年度から始まる科研費基盤(C)の研究課題「熱力学的視点による予測問題におけるStein現象への接近」へスムーズに接続する.

次年度使用額が生じた理由

学務多忙により外国出張などができず,次年度に繰り越すことになった.2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大により外国出張が難しいので,ノートPCや数理計算ソフトの購入に充てる予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Harmonic Bayesian Prediction Under α -Divergence2019

    • 著者名/発表者名
      Yuzo Maruyama, Takeru Matsuda, Toshio Ohnishi
    • 雑誌名

      IEEE Transactions on Information Theory

      巻: 65 ページ: 5352 - 5366

    • DOI

      10.1109/TIT.2019.2915245

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Dual Roles of Maximizing Likelihood and Shannon Entropy under Alpha-divergence Loss2019

    • 著者名/発表者名
      Toshio Ohnishi
    • 学会等名
      The 4th Eastern Asia Meeting on Bayesian Statistics
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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