研究課題
本年度は,機械学習の方法を用いて層別分析などを行うための基礎研究として,計算代数統計に基づいてログランク検定やマンテル-ヘンテル検定の正確計算のためのモンテカルロ・シミュレーション法を研究し,いくつかの結果をまとめ,学会発表などを行った.さらに,誤った層を設定したもとでの層別解析での検定統計量や効果推定量の標本分布がどのような挙動を示すかの研究を行い,そのような場合の層別解析で使用するランダム効果モデルであるDerSimonian-Laird法の検定統計量や平均母数や研究間分散の推定量の数理統計学的な性質を調べる研究を行い,学会発表などを行った.これらの研究をうまく組み合わせることで,機械学習の方法の一つである樹木接近法とうまく接合していける可能性が得られた.また,これまでに開発した群逐次型の多変量ログランク統計量に対する理論結果を,セミ競合リスク問題の場合に拡張して,そこで生じる漸近分布の特徴とノン競合リスク問題からの変化を調べる研究を行った.セミ競合リスク問題における情報寄与あり打ち切りに対応する方法を開発するため,コピュラモデルをもちいて2変量分布の定式化を行い,情報寄与あり打ち切りを導入した2変量ログランク統計量の修正の研究を行った.これまでの繰り返し測定データに対するノンパラメトリック接近法の研究を継続し,その方法論と理論の整備などを行った.また,相対生存モデルの研究も進め,Brierスコア推定量の性能を検討した.
2: おおむね順調に進展している
おおむね当初の計画に即して,研究が遂行され,結果を得ることができている.予定よりも遅れている研究のパートもあるが,セミパラメトリック分析法に関する研究からの新しい展開も得られ,総合的におおむね順調に進呈しているといえる.
今後の研究の推進の方策としては,層別分析のための正確検定の理論を完成させて研究論文としてまとめ,さらに,多変量データの場合に拡張する.誤った層を設定したもとでの層別解析での検定統計量や効果推定量の標本分布の研究を正規モデルのもとで,研究論文としてまとめ,機械学習の方法の一つである樹木接近法に対して適用するための応用研究を着手していく予定である.不完全データの場合の周辺部分尤度についての漸近理論を整備し,漸近分散の定式化とその妥当性のためのシミュレーション研究をまとめる.相対生存モデルの予測指標の研究を進め,樹木接近法への適用を行うための研究を進める.情報寄与ありの打ち切りによる2変量ログランク統計量の研究を深め,セミパラメトリック・周辺プロフィール尤度による解法を整備する.繰り返し測定データに対するノンパラメトリック接近法の研究については,これまでに得られた理論結果を一般の時点数に発展させ,欠測値を多く生じる実際場面でのどのような性質や特徴をもつかを整備する.
計算機に関する物品の使用耐数が見込みより長く持ったため、購入のタイミングを来年度に行うことと変更をしたたため。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Lifetime Data Anal.
巻: 26 ページ: 266, 291
10.1007/s10985-019-09470-4
Clinical Cancer Research
巻: 26 ページ: 2411, 2421
10.1158/1078-0432.CCR-19-1247