研究課題
本研究では,様々な状況の下で統計的仮説検定問題についての理論と方法論の開発を行うことを目的とし,その有用性・実用性について研究を行った.近年の情報化の進展に伴い,多種多様なデータに対する統計解析手法の開発は重要であり,この問題に関連して本年度は,特に高次元データに対する平均および平均ベクトルに関する仮説検定問題に焦点をあて,以下の点について研究成果を得ることができた.1.高次元データに対して,多変量Behrens-Fisher問題として知られる,2つの母集団の共分散構造が異なる場合の平均ベクトルの同等性検定問題(2標本問題)について議論を行った.具体的には,高次元データにおける多変量Behrens-Fisher問題に対してよく知られている統計量について,エッジワース展開とカイ2乗分布に基づく新たな2つのタイプの近似分布を導出し,理論的にその近似の誤差評価を行った.また,すでに知られている正規分布に基づいた近似(漸近正規性)との近似精度の比較を行い,新たに導出した近似分布の有用性を確認することに成功した.これらの結果については,2019年9月に開催された国際会議,2019年11月に開催された国際シンポジウムにおいて口頭発表を行った.さらに国際学術雑誌(Statistics & Probability Letters)に研究成果をまとめた論文が掲載された.2.RV係数を利用した,高次元データに対する独立性検定問題に関する研究成果をまとめた論文を昨年度後半から投稿していたが,国際学術雑誌(Journal of Multivariate Analysis)に掲載された.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
Statistics & Probability Letters
巻: 157 ページ: 108637~108637
10.1016/j.spl.2019.108637
Journal of Multivariate Analysis
巻: 178 ページ: 104627~104627
10.1016/j.jmva.2020.104627
https://kjs.acc.senshu-u.ac.jp/sshhp/KgApp?resId=S001699