研究課題/領域番号 |
17K00065
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
藤澤 洋徳 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (00301177)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ロバスト統計 / 歪正規分布 / EMアルゴリズム / モメンタム構造 / 一般化線形回帰モデル / 確率的最適化 |
研究実績の概要 |
非対称分布として最も有名である歪正規分布は潜在変数モデルである.潜在変数モデルに対しては,EMアルゴリズムを作る際に,典型的な作り方がある.しかし,歪正規分布に対しては,通常の考え方では陽に書けるハンディなEMアルゴリズムは得られない.そのために,過去に提案されたEMアルゴリズムは,複雑な方程式を解く必要があるなどの問題点が存在していた. そこで,代表者らは,過剰パラメータをあえて導入することで,ハンディなEMアルゴリズムを構成した.ハンディなEMアルゴリズムは他には存在しないと思っていたのだが,違う文脈で作られていたEMアルゴリズムを発見した.そのアルゴリズムと提案したアルゴリズムは非常に似た形であった.しかし,数値実験をすると,提案手法の方が圧倒的に早く収束していた. アルゴリズムの違う部分に詳細な検討を加えると,提案手法はある種のモメンタム構造を備えていることが分かった.モメンタム構造はNesterovの加速法で有名だが,それとは違う構造であった.加えて,モメンタム構造を人工的に入れていないので,尤度を単調に増加させるというEMアルゴリズム特有の良さは壊れていない.結果的に,モメンタム構造を持ち尤度単調増加性を保持する,非常に好ましいパラメータ推定アルゴリズムを構築することに成功した. ロバスト性とスパース性を併せもつ回帰モデリングを考えるとき,線形回帰であれば通常の座標降下法で十分に対処できるが,一般化線形回帰モデルにまで拡張すると,計算量の問題が起きる.その問題点を克服するために確率的最適化を利用した.収束に関する性質も与えた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに潜在変数モデルへの考察が進んだ.
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今後の研究の推進方策 |
現在投稿中の論文を雑誌にしっかりと掲載したい. 潜在変数モデルに対する考察をさらに進めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
管理職業務が当該年度から発生したため,しばらく,研究が進みづらく出張に行きにくい状況が続いた.次年度は管理職業務も落ち着いて通常通りに活動できることを期待している.
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