研究課題
稀少疾患における新規治療の臨床試験では一般に,疾患の稀少性と重篤性から,試験規模を十分に大きく設計できず効果の期待できる新規治療であってもその効果を十分に支持する結果が得られない,プラセボといった対照群を設定できないため例えば自然経過と比較し治療の本質的な効果があるかどうかを適切に評価できないといった問題がある.本研究では,前年度の成果に基づき,稀少疾患における臨床試験のデザインと解析の統計的方法を研究をおこなった.本年度はとくに,以下のことがらにとり組んだ:(A)小規模試験においてどの程度の割り付けの不均衡が生じるかを検討し,それが,統計的推測,とくに検定の検出力にどの程度まで影響を及ぼすかを検討した.(B) 適応的デザインとして,小規模試験における標本サイズの再計算の方法を検討した.従来,大規模試験で用いられれる標本サイズの再計算の方法の性能を,小規模試験の場合で検討した.とくに条件付き検出力および第1種の過誤確率の挙動を数値的に評価し評価した.(C) 外部データの活用した試験のデザインと統計手法の課題について纏めた.とくに外部試験を利用する標本サイズの既存の計算方法を整理し,実地で利用可能な形でプログラム化した.それらの成果は「方法論ディクショナリー」としてデータベース化する準備を進めた.
2: おおむね順調に進展している
計画通りに進捗している.
本年度は最終年として得られた成果を国内外の学会・学術誌などを通じて広め,客観的評価と批判をうける.とくに,2019年8月26日から30日で国立京都国際会議場で開催されるthe 6th International Symposium on Biopharmaceutical Statisticsで成果を公表し,その機会を利用し,IDEALのRalf-Dieter Hilgers教授(RWTH Aachen University),Martin Posh教授とFranz Koenig教授(Medical University of Vienna),Rob Hemmings博士(EMA),Mey Wang博士(Center for Drug Evaluation)などを迎え,研究助言を得る.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 10件、 招待講演 4件)
Lifetime Data Analysis
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s10985-019-09470-4
BMC Medicine
巻: 16 ページ: 210
10.1186/s12916-018-1196-2
Clinical Infectious Disease
10.1093/cid/ciy912