研究課題/領域番号 |
17K00072
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
大川 猛 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80392596)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | FPGA / ロボット / コンポーネント / Publish/Subscribe通信 / HW/SW協調設計 / 並列処理 |
研究実績の概要 |
【研究目的】ロボットにおける知的処理の一部をデータセンター等にて分散処理するクラウド・コンピューティング(計算機)環境で、FPGA(Field Programmable Gate Array)を利用するための基盤となる設計技術の研究を行う。具体的には、(1)ハードウェア(HW)・ソフトウェア(SW)間の通信の最適化、(2)再利用可能なHWコンポーネント、(3)コンポーネントの物理マッピングによるFPGAコンパイル時間短縮、を目的とする。 【研究実施計画(3年間)】まずは、クラウド計算機環境におけるFPGAコンポーネントへの要求分析と基本設計を行い、それに基づいてFPGAを用いたハードウェア(HW)/ソフトウェア(SW)間のメッセージ形式・転送プロトコルの最適設計を行う。同時に、動的・静的リンク可能なHWコンポーネント形式を設計し、アプリケーションに応じて最適化したメッセージ形式・転送プロトコルによる再利用可能コンポンーネント設計環境を開発し、評価する。 【平成29年度の実績】項目1.クラウドにおけるFPGAコンポーネントの要求分析と基本設計、項目2.HW/SW間のメッセージ形式・転送プロトコルの設計、項目3.動的・静的リンク可能なHWコンポーネント形式の設計、の3項目について研究を進めた。項目1の要求分析においては工場等で使用される移動型ロボットを対象として調査し、環境地図作成(SLAM)等についての機能・性能要件についての明文化・定量化を進めたが、未完了。また、項目2・3のHW/SW間の通信については、これまでに研究代表者が研究開発を進めているROS準拠FPGAコンポーネントの考え方をもとにして、Publish/Subscribe型の通信を行うFPGAコンポーネントの方式検討と、通信方式の一部に関しては、FPGA実装を行った。以上の検討成果の一部について外部発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究が目指すクラウド側(データセンター)のFPGAコンポーネントは、エッジ側(ロボット本体)が用いるROS準拠FPGAコンポーネントとの連携処理を想定している。別の研究プロジェクトで開発を進めているエッジ側のROS準拠FPGAコンポーネントの開発を優先するために、本研究のクラウド側の研究開発の優先度を下げた。そのため、クラウド側FPGAコンポーネントの具体的な検討(項目2および項目3)は、FPGA間の通信に関する基本的な検討にとどまり、予定よりも遅れている。 また、工場等で使用されるロボットに関する要求分析については、実際に工場向けのロボットシステムを開発している企業と情報交換してきた。しかし、FPGA導入のメリットを理解してもらうことが困難で、企業側担当者がFPGAの導入に消極的である問題がある。そのため、研究成果を社会実装するための要件が明確化できておらず、項目1は未完了である。
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今後の研究の推進方策 |
エッジ側のROS準拠FPGAコンポーネントの開発については、別研究プロジェクトにおいて平成29年度内に画像の特徴点抽出処理を行うコンポーネント(電力効率10倍)の開発が成功し無事完了した。平成30年度以降は、当該コンポーネントと連携することを想定し、本研究が対象とするクラウド側のFPGAコンポーネントの開発を進めることが可能となる。 また、工場等で使用されるロボットに関する要求分析について、企業側担当者がFPGAの導入に消極的である問題については、ドイツにおいて企業と連携した工場(Industry 4.0)へのFPGA導入を研究している大学研究室があるため、夏季に短期滞在して要求分析と設計を行うことに合意を得た。ドイツ滞在を利用して、「項目1.クラウドにおけるFPGAコンポーネントの要求分析と基本設計」を加速する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度については一部の物品調達が計画時よりも低価格で可能であったため、平成30年度において研究用消耗品の購入に充当する。
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