研究課題/領域番号 |
17K00084
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡辺 晴美 東海大学, 情報通信学部, 教授 (40333190)
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研究分担者 |
今村 誠 東海大学, 情報通信学部, 教授 (30780291)
島崎 みどり (菅谷みどり) 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (50434288)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | コンテキスト指向プログラミング / IoT / UML / FPGA / オブジェクト指向ソフトウェア |
研究実績の概要 |
本研究では、IoT等の次世代システムには、「複雑な環境におけるサービスの切り替え」が必要であるという課題に着目し、コンテキスト指向プログラミング(COP)と呼ばれる技術を基盤とした総合開発環境を提案することを目指している。特徴は、導入のための教育面と信頼性を考慮し、サービスを切り替える部分とサービス提供部分を分離したアーキテクチャを有する点にある。本年度は、論文誌1件、国際会議9件の発表を行った。さらに、COPの第一人者であるRobert Hirschfeld(Hasso Plattner Institute, Germany)の研究室で2020年3月から9月まで客員教授として研究する機会を得た。 (1) プログラミング言語:IoT等のアプリケーションシステムを構築するために、新たな組込みシステム用言語として、C++を拡張したRTCOPを論文誌で発表した。 (2) モデル駆動開発:COPと関連したモデル駆動開発技術は確立されていない。既存のUMLツールを拡張し、COPの基本機能であるレイヤをモデルで表現し、プログラムを自動生成する初歩的な仕組みを構築した。 (3)複合現実システムへの適応:評価システムとして複合現実システムを構築した。IoTやSociety 5.0のアプリケーションでは、多くのシステムが連携する。こうしたシステムを構築するのは容易ではない。そこで、仮想空間と実ロボットを組み合わせた複合現実システムを構築した。 (4) FPGAへの適応: 実際のシステムへ適用するためには、ハードウェア協調設計が不可欠である。FPGAには、部分再構成の仕組みがあり、COPとの相性が良い。2018年度から今年度初頭はFPGAへの連携部分を構築し、性能評価を行った。後半は小型ロボットアームへの適用を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画当初は想定していなかったFPGAへの適応について進めることができたこと、さらには、2020年度に前述の通り、COPの第一人者であるRobert Hirschfeldの研究室で研究を進める機会を得た。以上から当初の計画以上に進展したと自負する。なお、令和元年度の目標は「方法論とフレームワークを完成させ、総合的に評価する。」であり、評価方法として、モデル上で実行時のレイヤ切り替え/重ね合わせを実施し、想定通りに動作するかを評価する。モデル検査については、指定した条件が成立した場合のみ切り替わることを確認することを想定していた。従って、主要な目標は、総合的な評価を行うことである。下記の評価を行うことができた。 (1) プログラミング言語COPの性能評価:IoTの基盤となる組込みシステム向けのプログラミング言語としてRTCOPを開発し、組込みシステムに適した性能を有することを評価した。 (2) モデルからプログラムの自動生成:UMLを拡張し、構造面をモデル化し、上記のRTCOPを生成できた。従って、初期の目標であるレイヤ切り替え/重ね合わせを実施し、想定通りに動作することを確認できた。 (3) アプリケーションへの応用:本研究は工場を想定しているが、実際の工場での実験は困難であることから、2面のプロジェクションマッピングと実機ロボットを組み合わせたアプリケーションを構築した。 (4) FPGAとの協調設計:2018年度から取り組み、本年は小型のロボットアームへ適用した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、これまで行って来た下記の内容について取り組む。 (1) プログラミング言語:今後、FPGA等ハードウェアとの協調を支援するために、COPに対応したOSを作成する予定である。このOSに対応したプログラミング言語に発展させる。 (2) モデル駆動開発:現在完成している部分は、ソフトウェアの構造に関する部分である。今後、振る舞い・協調に関しての表記およびコード生成について進めていく予定である。 (3) アプリケーションへの応用:現在は1台の実ロボットと仮想環境との協調であるが、今後、複数台の実ロボットと仮装ロボットの協調、遠隔ロボット等のロボットとの協調等、より複雑なアプリケーションへの適用を目指す。 (4) FPGAとの協調設計:実行時書き換えのタイミングがハードウェアとソフトウェアでは異なるため、専用の同期機構を用意する必要性がこれまでの研究で明らかになった。この課題解決に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行により、予定していた学会発表・研究発表会の出張が中止となったため、次年度使用額が生じた。従って、2019年度に実施できなかった研究発表および議論をするために、学会発表・研究発表会と関連した参加費・旅費に使用することを予定している。
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