研究課題/領域番号 |
17K00087
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研究機関 | 湘南工科大学 |
研究代表者 |
三浦 康之 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (40440292)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | システムオンチップ / ハイパフォーマンスコンピューティング / ネットワーク / FPGA |
研究実績の概要 |
本研究は、FPGAクラスタにおける汎用的なクラスタ内・クラスタ間通信のためのフレームワークの構築、および構築に伴う各種要素技術の開発を目的としている。本研究計画では、Altera FPGAの開発環境の枠組みを用いて、パケット交換方式によるFPGA内のメモリモジュール・外部メモリ・PCIインターフェイス・ボード間インターコネクトなど、ボード間通信を含む様々なモジュール間通信機能を実現するコンポーネントを構築する。一方、FPGAへの実装を想定した、各種効率化手法に関する提案および評価を行う予定としている。 上記につき、本年度は、以下のものを実現した。第一に、Altera FPGAの開発環境であるQsysのAvalon-Streamingインターフェイスを用いて、パケット型通信とバス型通信を組み合わせる、一対一のモジュール間通信機能を実現した。特に、システム中のソフトコア・プロセッサを用いて入力・出力インターフェイス部のパケットの流れを制御する方法を確立した。第二に、単一のFPGAに複数のモジュールが存在するケースを想定して、複数のソフトコア・プロセッサが同時に稼働するシステムの試作と実験を行った。第三に、効率化手法の一つとして、FPGA内部のバッファを複数のモジュールで使いまわす手法に関する性能評価を行い、論文を出版した。第四に、単一のFPGAに複数のモジュールが存在する環境下におけるパケット通信の経路選択法に関する提案と性能評価をおこなった。第五に、データ、および制御メッセージを含む長短パケットを組み合わせたパケット通信法に関する性能評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、モジュール内あるいはモジュール間の多対多の通信フレームワーク実現を目指していた。これに対し、現在までに、モジュール内の一対一の通信に必要な、ネットワーク・インターフェイス部と、ソフトコア・プロセッサにおけるソフトウェアの構築まで実現している。Altera FPGAにおけるAvalon-Memory-Mappedバス、およびAvalon-Streamingインターフェイスの枠組みを活用することにより、アプリケーションに応じた柔軟な設計の可能な通信フレームワークの構築を目指している。現在、多対多の通信に必要となるルータ・モジュールの構築を行っているものの、モジュールに必要となるAvalon-Streamingインターフェイスのマルチプレクサが、仕様とは異なる動作を行っているため、想定より開発が遅れている。これについては、現在原因を調査中である。 一方、種々の効率化手法に関する検討は順調に進展しており、「FPGA内部のバッファを複数のモジュールで使いまわす手法」については論文誌への掲載も実現している。また、「パケット通信の経路選択法に関する提案と性能評価」に関しても、論文投稿を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、多対多の通信に必要となるルータ・モジュールの構築を継続する。現在のところ、Avalon-Streamingインターフェイスのマルチプレクサが想定通りの動作を行わないため、開発環境のバージョンを変える等の対応を行いつつ原因を確認している。原因を特定できない場合は、既存のマルチプレクサを使用する代わりに、ユーザー作成のコンポーネントにより、マルチプレクサを作成することで対応する予定としている。同時に、DE-0ボードを対象とした、モジュール間通信のためのコネクタの接続と、周辺のFPGAロジックの構築を行っている。上記は、今年度末に終了する予定である。 上記と同時に、単一メモリ空間モデルやキャッシュメモリの実装に関する検討を同時進行で進める。また、「FPGA内部のバッファを複数のモジュールで使いまわす手法」や「長短パケットを組み合わせたパケット通信」のFPGAへの実装に関して、検討作業を進めてゆく予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は国際会議の参加国が東アジア地域であったことと、研究補助者が出張を行わなかった関係で、旅費の支出が想定より低く抑えられた。次年度は、研究補助者の出張予定があるため、次年度使用額は旅費に充てられる予定である。
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