研究課題
近似計算処理を行う演算器に関して様々な検討を行った.加算器に関する成果は次の通りである.動作時に演算精度を変えることが可能な近似加算器を考案した.選択された演算精度に応じて消費電力削減可能であり,同時に演算速度を改善できる.この成果に対して回路を工夫することで,ほぼ同等のエネルギー利用効率で演算精度を改善した.演算精度の改善に関しては近似演算器が弱点とする負数の扱いを考慮したことを特筆したい.乗算器に関する成果は次の通りである.最初に,演算精度は固定であるが,消費電力を削減しながら演算速度を改善できる近似乗算器を考案した.続いて,動作時に演算精度を変えることが可能な近似乗算器を考案した.選択された演算精度に応じて消費電力を削減可能であり,同時に演算速度を改善できる.この成果に対して回路構成を工夫することで,さらに消費電力を削減する構成を考案した.以上の成果に対して更に回路構成を抜本から見直し,回路構造を大幅に変更する方式を考案し,高い演算精度と小さな消費電力とを両立した.積和演算器に関する成果は次の通りである.まず近似乗算器を発展させ,演算精度が固定の近似積和演算器を考案した.さらに,これと近似加算器を組み合わせることで,演算精度が可変な回路を二方式考案した.状況に応じて演算精度を変更できるので,応用の幅を広げる可能性がある.近似計算技術の応用を広げる検討については,従来から広く検討されている画像処理技術に加えて,ディペンダブル技術への応用で成果を得た.経年劣化や電源の揺らぎによる回路の信頼性低下への対策に利用できる.近似演算器の自動生成方式については,残念ながら大きな進捗は得られなかった.ディープラーニング技術を用いて近似加算器の構成を決定する方式のみが成果となった.この点については新たな支援を獲得して,挑戦を続けたい.
すべて 2020 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 備考 (4件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences
巻: E103.A ページ: 1028~1036
10.1587/transfun.2019KEP0009
https://uarch.jimdofree.com/
https://uarch.wordpress.com/
https://www.researchgate.net/profile/Toshinori-Sato-2
https://www.researchgate.net/profile/Tomoaki-Ukezono