研究課題/領域番号 |
17K00093
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
金子 敬一 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20194904)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高信頼システム / ディペンダブルコンピューティング |
研究実績の概要 |
トーラスに対して,確率的な制限大域情報に基づく確率的耐故障経路選択手法を開発し,その評価のために大規模な計算機実験を実施した.その結果,目的ノードまで到達することができる割合である到達率が向上し,到達成功の際の出発ノードから目的ノードまでの経路の長さについても,これを大幅に削減していることを確認した.また,この手法を他の位相である畳込みハイパーキューブにも応用できるよう拡張し,評価実験を実施して,その有効性を確認した.さらに,研究が当初計画どおりに進まない時の代替手法として,確率に基づかない制限大域情報である経路選択能力に基づく耐故障経路選択手法とノード間に中間ノードを共有しない経路をできるだけ多く構成する素な経路選択手法に基づく耐故障経路選択アルゴリズムについての基礎研究を引き続き実施した.具体的には,前者の手法については,クロストキューブで経路選択能力を用いた耐故障経路選択手法を開発し,評価実験の結果,その有効性を確認した.後者に関しては,トーラス,およびツイステッドクロストキューブにおける互いに素な経路を用いた耐故障経路選択手法を開発し,計算機実験を行い,性能を検証した.また,クロストキューブに対して,完全適応的最短経路選択アルゴリズムを開発し,耐故障性がどの程度向上するかについて調査した.さらに,研究成果の実用化を目指し,トーラスをチップ上に配線する際に,配線速度向上と配線コスト削減のため,リンクの交差数を減少させる,発見的なアルゴリズムを開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画どおり,トーラスに対する確率的耐故障経路選択手法に利用可能な制限された大域情報の開発に成功し,大規模な計算機実験を実施して評価した結果,到達率向上,経路長の大幅削減に成功していることを確認したため.また,研究が当初計画どおりに進まない時の対応のための代替手法についても,十分な成果を上げているため.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画を上回るペースで順調に進捗しているので,研究をさらに推進する.代替の手法についても当初予定を越えて成果を出しているので,こちらについてもさらに研究を継続する.新たに始めた,集積回路への実用化研究についても,引き続き成果を出せるように推進する.
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次年度使用額が生じた理由 |
アルゴリズムの実現が,予想より早く終了したため,人件費を抑制することができた.現時点で,予定より多くの研究成果が出ているため,次年度は,より多くの評価実験を実施するので,その分で人件費を消費することが確実である.
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