研究課題
本研究では、SDN (Software Defined Networking) を利用した相互結合網におけるネットワーク資源管理基盤上で、相互結合網も考慮した省電力運用に向けたクラスタ資源管理技法の実現を目指している。具体的には、相互結合網も含めたクラスタシステムの縮小運用による省電力化を支援可能なクラスタ資源管理技法を、これまで研究開発を行ってきたSDN-enhanced JMS Framework 上に配備する資源割当ポリシとして研究開発を行う。初年度となる平成29年度は、関連研究及び関連技術の調査から開始し、後半期頃より「課題1:ネットワーク資源割当の再構成手法の設計・実装」を目的とした研究を進めていくことを計画した。本計画に基づき、平成29年度は下記を行なった。(a) 関連研究・技術の調査およびクラスタシステム環境の構築・整備:本ステップでは、以降に行う(b)ネットワーク資源割当の再構成手法の設計・実装、(c)割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装、および(d)データに基づくジョブの通信特性の分析・分類技法の設計・実装に向け、クラスタシステムにおける既存の省電力化の研究・技術およびネットワークにおける通信制御技術に関する関連研究について文献調査を推進した。さらに、実際のクラスタシステムにおける資源管理で求められる制約条件について要件の整理を行った。また、本ステップでは開発・評価を行う小規模なクラスタシステムの環境構築を行った。(b) ネットワーク資源割当の再構成手法の設計・実装:本ステップでは、相互結合網でも省電力運用を行うためのネットワーク資源割当の再構成手法について検討を行った。
2: おおむね順調に進展している
本年度は、研究計画として以下の2 つのステップを定め、研究を実施した。(a)関連研究・技術調査およびクラスタシステム環境構築(b)ネットワーク資源割当の再構成手法の設計・実装本研究計画において、(a)については計画どおりに実施した。(b)についてもネットワーク資源割当の再構成手法のプロトタイプ資源割当ポリシの設計・実装は計画どおり完了している。なお、本手法に対する基本的な評価は完了しているが、実践的な評価を残課題として次年度に完了する予定である。以上より、おおむね順調に進捗していると判断した。
次年度以降は、本年度のステップ(a) の関連研究・技術の調査、およびステップ(b) ネットワーク資源割当の再構成手法の実践的評価を通したクラスタシステム環境の整備を継続的に実施する。次年度後半からは「課題2:割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装」に取り組み、最終年度は後半期より「課題3:データに基づくジョブの通信特性の分析・分類技法の設計・実装」に移行するする。この間に下記の2つのステップを進める予定である。(c) 割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装:本ステップでは、課題1の割当資源の再構成後でも許可されたネットワーク資源量を保証するためのクラスタ資源管理技法を設計・実装する。(d) データに基づくジョブの通信特性の分析・分類技法の設計・実装:本ステップでは、課題1および2のクラスタ資源管理技法において、ユーザがジョブに対して静的なパラメータ値として設定することを想定していたジョブの要求資源量を、ユーザプライオリティ等から値を推定するクラスタ資源管理技法を設計・実装し、それぞれの評価結果から複合した算出モデルの検討を行う。上記の計画に従い研究を推進する。
当初予定していた研究開発用のサーバ/ノートパソコンおよび関連消耗品の購入について、既存のサーバ/ノートパソコンを代用することにより研究経費の節減が可能となった。一方、計画よりも研究調査に関連した旅費が多く必要となったため、当初の使用計画との齟齬から次年度使用額が生じた。よりよい研究成果導出のために、次年度使用額を用いて当初予定よりも評価実験環境を拡充することを計画している。
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