研究課題/領域番号 |
17K00101
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
渡場 康弘 大阪大学, サイバーメディアセンター, 特任講師(常勤) (60758275)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 計算資源管理 / SDN |
研究実績の概要 |
本研究では、SDN (Software Defined Networking) を利用した相互結合網におけるネットワーク資源管理基盤上で、相互結合網も考慮した省電力運用に向けたクラスタ資源管理技法の実現を目指している。具体的には、相互結合網も含めたクラスタシステムの縮小運用による省電力化を支援可能なクラスタ資源管理技法を、これまで研究開発を行ってきたSDN-enhanced JMS Framework 上に配備する資源割当ポリシとして研究開発を行う。2018年度は、2017年度に引き続き関連研究・技術の調査を継続的に実施するとともに、本年度第2四半期より「課題2:割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装」を目的とした研究を進めていくことを計画した。本計画に基づき、2018年度は下記を行なった。 (a) 関連研究・技術の調査およびクラスタシステム環境の構築・整備: 本ステップでは、本年度第2四半期より行う(c)割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装、に向け、クラスタシステムにおける既存の省電力化の研究・技術およびネットワークにおける通信制御技術に関する関連研究について文献調査を推進した。さらに、実際のクラスタシステムにおける資源管理で求められる制約条件について要件の整理を行った。また、本ステップでは2017年度に構築した小規模なクラスタシステムについて、本年度の開発・評価に向けた環境整備を行うとともに、ネットワーク資源管理の効果を検証するため広域分散型環境の構築・整備を行った。 (c) 割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装: 本ステップでは、課題1の割当資源の再構成後でも許可されたネットワーク資源量を保証するための機能について、ネットワークの既存技術であるQoS機能を利用して利用可能帯域幅を制御するクラスタ資源管理技法について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、研究計画として以下の2 つのステップを定め、研究を実施した。 (a) 関連研究・技術調査およびクラスタシステム環境構築 (c) 割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装 本研究計画において、(a)については計画どおりに実施した。(c)については割り当てたネットワーク資源量を保証するための機能について、クラスタ資源管理技法を適用する基盤であるSDN-enhanced JMS Framework での拡張作業が想定より大きくなったため、プロトタイプ資源割当ポリシについては設計まで完了となった。また、本研究における課題に対する評価で必要になるとの考えから、研究計画には含まれていないが、さまざまなシステム構成での評価の観点からジョブスケジューリングシミュレータ、およびネットワーク資源管理の効果が大きく出るとの観点から広域分散型の評価環境の構築・検証を優先して実施している。それに伴い、前年度の残課題である「(b)ネットワーク資源割当の再構成手法の設計・実装」における評価については前述の環境構築と連動して進行中となっている。以上より、研究計画に含まれていなかった評価環境の構築により研究内容としては良くなったと考えるが、当初の研究計画からはやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、本年度のステップ(a) の関連研究・技術の調査、および評価環境であるクラスタシステム環境、ジョブスケジューリングシミュレータ、広域分散環境の構築・整備を実施する。また、ステップ(c) の割当ネットワーク資源の資源量保障機能の設計・実装・評価を進め、ステップ(b) ネットワーク資源割当の再構成手法の評価をステップ(c)の評価と合わせて実施する。次年度後半からは「課題3:データに基づくジョブの通信特性の分析・分類技法の設計・実装」に移行する。この間に下記のステップを進める予定である。 (d) データに基づくジョブの通信特性の分析・分類技法の設計・実装: 本ステップでは、課題1および2のクラスタ資源管理技法において、ユーザがジョブに対して静的なパラメータ値として設定することを想定していたジョブの要求資源量を、ユーザプライオリティ等から値を推定するクラスタ資源管理技法を設計・実装し、それぞれの評価結果から複合した算出モデルの検討を行う。 上記の計画に従い研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた動作検証・性能評価用サーバおよび関連消耗品の購入について、既存のサーバ/ノートパソコンを代用することにより研究経費の節減が可能となった。一方、計画よりも研究調査および研究成果報告に関連した旅費が多く必要となったため、当初の使用計画との齟齬から次年度使用額が生じた。 よりよい研究成果の導出のために、次年度使用額を用いて当初予定よりも評価実験環境を拡充することを計画している。
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