研究課題
主な成果は、以下の5つである。(1) 拡張状態遷移モデルの一種であるEPN(Extended Place/transition Net)をさらに拡張したEPNAT(EPN with Attributed Tokens)を提案した。EPNATを用いれば、複数のサブシステムから構成されるシステムの振る舞い仕様を、よりコンパクトに表現することができる。EPNATの表記法や仕様の構築手順、VDM仕様への変換法について明らかにし、さらに支援ツールを試作した。(2) EPNATで記述された仕様のレビューを支援するために、対話形式で仕様を動作させてその結果を可視化する手法を提案した。そして、レビューの過程をテストケースとして記録し、仕様が更新された際の回帰テストに使用する手法を提案した。さらに、支援ツールを試作して予備実験を行った。提案手法によって仕様の品質の向上が期待できる。(3) EPNで仕様を記述できるようになるには、一定の訓練が必要である。そこで、その訓練を支援する手法と試作ツールを開発した。提案手法では、訓練者は、与えられたEPNの部品を用いて、要求を満たす仕様の構築を試みる。構築中の仕様については、VDM仕様や動作可視化によって訓練者にフィードバックされるので、理解を促すことができると考えられる。(4) 拡張状態遷移モデルの一種であるEFSM(Extended Finite State Machine)による仕様を効果的に構築するためのテストファーストを提案した。EFSMによる仕様とそのVDM仕様、テストケースの表記について整理したうえで、テストファーストの手順やテストケースの評価手法を構築した。さらに、支援ツールを試作した。(5) EPNATやEFSMによる仕様から生成されたVDM仕様に基づいて、最適化されたテストケースを生成する手法について検討した。
2: おおむね順調に進展している
EPNATによる仕様の記述法や、レビュー支援・回帰テスト支援手法、EPNによる仕様記述の訓練手法、EFSMによる仕様のテストファーストなどを開発し、その成果を国際会議や国際論文誌で発表することができたため。
EPNATやEFSMなどによる仕様からVDM仕様を生成する手法や、テスト充分性を評価するための基準を整理する。そして、その基準を満たすテストケースを生成するためのアルゴリズムおよび試作ツールを開発し、有効性を評価する。
学会がオンラインでの開催となり旅費が不要だったこと、学会参加費が例年より低い金額だったこと、研究成果の一部を次年度に発表することにしたことなどの理由により、次年度使用額が生じた。次年度においては、研究成果を発表するための学会参加費や論文掲載料などに使用する予定である。
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Journal of Robotics, Networking and Artificial Life
巻: Vol.7, No.3 ページ: pp.194-198
10.2991/jrnal.k.200909.011