研究課題/領域番号 |
17K00105
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
中本 幸一 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 教授 (70382273)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | IoT / グラフデータベース / センサーネットワーク / 異常値検出 |
研究実績の概要 |
当該年度は、グラフデータベースで管理するIoTシステムの応用例として、分散コラボレーションシステムとセンサーネットワークシステムをとりあげた。具体的には、前者ではKJ法を使ってアイデアの生成、交換をコラボーレションして行う分散システムをモバイルグラフデータベースを利用してAndroidデバイス上に開発した。後者はセンサーネットワークシステムで環境の異常データをより高速に検出するアルゴリズムとそれを実装したシステムを開発した。環境において、あるデータが異常かそうでないかは状況によって変わりうる。このためセンサーネットワークで収集したデータをクラスタリングにより異常値を検知することを考える。このとき、異常値を教師なしのクラスタリングアルゴリズムで見つけることが考えられる。しかし、これには計算時間が長くなる,クラスタ構成の正確さが低減する場合があるという問題があった。 これらの問題を解決するためのピーク探索アルゴリズム(PSA)を開発した.PSAはデータセットの確率のピークを見つけるためにBayesian最適化を利用している。EMアルゴリズムやk-meansアルゴリズムなどの教師なし機械学習アルゴリズムにPSAを適用した場合に,オリジナルのアルゴリズムに比べて、シミュレーションにより正確さにおいて2倍,実行時間において約1/3になることを示した.またセンサーネットワークシステムにおいて小型組込みシステム(RasberyPi)に実装した。処理速度は1秒未満であり、実環境でも十分利用可能であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進行している。本研究の目的は、IoTシステム管理ミドルウェアをグラフデータベースを使って開発し、実際の管理はクエリ言語で行うことを目指している。当該年度はシステム管理対象としての分散コラボレーションシステムやセンサーネットワークシステムの研究開発を行うことができ、本研究の下地ができたことになるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当該年度研究開発したIoTシステムを対象に、システム管理機能を研究する。 当初の研究計画にあるように、システム管理はグラフデータベースに対するクエリで行う。Datalog をベースにした宣言型言語をクエリ言語として利用する。例外状態の記述、アクセス制御機能、IoT システム機能の変更機能をクエリ言語に追加する。センサーネットワークシステムにおいて、既存研究のストリームデータベースと統合するなどを行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度末に行った英文校正費用が当初より少額で済んだため、次年度使用額が生じている。今年度分と合算して消耗品等の購入にあてる計画である。
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