令和元年度は、計算機に跨る環境を対象に、APグループの移送内容を自動的に特定する技術と、APグループの環境を再構築する技術を確立した。なお、これらの研究成果について、2件の学会発表を行った。 (2-a) APグループに移送内容を特定する技術 複数の計算機に跨るAPグループが利用するソフトウェア資源と追跡し、移送内容を特定する技術を確立した。確立した手法では、socket通信のシステムコールをシステムコールライブラリとカーネル内で監視することで通信相手のAPを特定する。また、それらの情報をマスタサーバに集約し解析することで移送内容を特定する。疑似データを用いた評価では、実用的な時間で移送内容を特定できることが分かった。 (2-b)APグループを安全に再構築する技術 移送元と移送先では、割り当てられる計算機の台数や、IPアドレスなどのネットワーク環境が異なる。このため、ネットワーク環境の差異を変換する方法を検討した。具体的には、hostsファイルを用いた変換方法と、DNSを用いた変換方法を実現し評価した。また、SDN環境を対象とした変換方法について、OpenFlow環境での変換方法を実現した。両者の評価では、IPアドレスの変換に必要な時間は短く、実用的な時間で変換できることが分かった。
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