研究課題/領域番号 |
17K00110
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
名倉 正剛 南山大学, 理工学部, 准教授 (70457141)
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研究分担者 |
高田 眞吾 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60273843)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 保守開発 / 不具合予測 / 類似コード特定 / テストケース生成 / 障害原因特定 |
研究実績の概要 |
平成30年度以降として当初予定していた実施計画に沿って,まずアプリケーションの構成変更を自動化するための要素技術について提案を行った.前年度は,リファクタリングによる対応が必要となる,不具合を発生しやすい傾向のあるコードの特定に利用できるコードの特徴を明らかにした.その結果として,コーディングに関するルール(コーディング規約)に対する違反量が利用できる可能性があることを明らかにしたが,今年度はその結果を利用して,変更すべきコードを自動的に特定する技術を確立した.そしてその結果を情報処理学会ソフトウェアエンジニアリングシンポジウム2019において口頭発表し,手法の妥当性を確認するための評価実験を再度行った上で,情報処理学会論文誌に投稿し採録が決定した.また,アプリケーションの構成変更が発生した際に,機能的に類似したコードが存在すると,対応を困難にする可能性がある.このコードを検出する手法について,実際の企業データを利用した評価を行い,その結果を第26回ソフトウェア工学の基礎ワークショップ(FOSE2019)で発表した.そして,テストケース選択手法の提案と実装として,障害が発生した際に障害原因を特定するための技術(フォルトローカライゼーション技術)の精度を向上させるための手法を提案した.フォルトローカライゼーション技術を利用する際に,単一のテストケースに成功する入力と失敗する入力が混在する場合に,障害原因特定の精度を下げる場合がある.そこでそのような場合に成功する入力と失敗する入力とを分類し,不足しているテストケースを自動的に生成する手法を確立した.この成果は,情報処理学会第82回全国大会で口頭発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度実施報告時点で,最終年度である平成31年度の研究予定を,次の2項目と示した. (1) テストケース選択手法の提案と実装を行う. (2) 構成変更自動化技術の提案とプロトタイプ実装. このうち,(1) については,障害原因を特定の精度を高める際に利用するテストケースを分類し,不足しているテストケースを生成する技術を提案した.また (2) については,変更すべきコードを自動的に特定する技術を提案し,その実装を行った.これについては,障害に直接結びつくコード(不具合を引き起こすコード)を特定する技術と,保守性を下げることによりやがて障害を引き起こす可能性を高める機能的に類似したコードを特定する技術の2つの側面から,自動化技術を提案し実装した.このように予定していた項目の実装を終えており,「おおむね順調に進展している。」と考える.
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は本年度で最終年度であるため,今後の推進方策については記入しない. ただし,研究成果を論文誌に報告した一部の研究成果については,手法の実用化に向けて次年度以降も検討を実施する計画である.また,それ以外の研究成果についても,異なる側面からの検討も含め,障害原因箇所特定,修復技術の検討を,継続的に実施する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本補助事業による研究成果を論文誌に投稿し採録されて掲載見込みであり,その掲載料を本補助事業の成果として支出する予定である. 当該論文誌の掲載料請求が4月になる見込みであり,事業期間を延長を申請した上で,次年度使用額として計上した.なお,次の論文誌に掲載されることが決定しており,今年度成果としても報告した. 情報処理学会論文誌(61巻4号 ※2020年4月発行) 論文タイトル「コーディング規約違反メトリクスに基づきソフトウェア変更に対して不具合混入を予測する手法」
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