研究課題/領域番号 |
17K00118
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
山井 成良 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90210319)
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研究分担者 |
大坐畠 智 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (30361744)
北川 直哉 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50749900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ネットワーク / インターネット高度化 / 情報通信工学 / 移動体通信 |
研究実績の概要 |
本研究課題では各端末が複数のアクセスポイントを同時に利用できるマルチホームネットワーク環境において多人数同時利用での高速かつ公平な通信の実現を目的としている.そのため,平成29年度は(1)VPNクライアント・サーバプログラムのSCTPへの対応,(2)選択的バイキャスト通信の改良方法の検討,(3)端末におけるレイヤ2の通信状況の取得方法の検討の3項目を実施することが当初の予定であった. このうち,(1)については実装を容易にするため,SCTPの代わりにTCPの上位互換性を持つMPTCP(Multipath TCP)を用いることにし,またVPNサーバとクライアントにMPTCP対応のOSであるLinuxを採用することによりVPNクライアント・サーバプログラムを改変することなくマルチホーム化を実現した.また,VPNサーバ上でMPTCPが優先的に使用する経路がどのように管理されているかを分析し,カーネル内の経路管理情報を直接読み書きする外部プログラムを開発することにより使用経路を動的に切り替える機能を開発した.また,この外部プログラムを用いることにより通信中に使用経路を変更できることを確認した. 次に,(2)(3)についてはシミュレータns-3上で実装できることを条件として同シミュレータ上で取得できる情報を検討した.その結果,RSSI(Received Signal Strength Indication)およびフレームロス率の2つを通信状況の評価尺度として使用することにし,それらの値に基づいて選択的にバイキャストを行う方式を考案してns-3内で実装し,有効性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の実施計画で示されている3項目のうち,(1)については既に使用経路を動的に切り替える機能を開発しており,当初の計画以上に進展しているといえる.一方,(2)(3)についてはシミュレータ上での有効性の検証を優先したため,特に(3)の端末におけるレイヤ2の通信状況の取得方法については実機での検証は未実施の状況である.そのため,全体としてはおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降は(4)選択的バイキャスト通信の改良,(5)レイヤ2での通信状況の評価基準の確立,(6)大域的トラヒック分散機能の設計,(7)全体の実装・評価を予定している.このうち,(4)(5)は現在シミュレータ上で実装している機能の実機での実現を行う予定である.また,(6)については既に経路切替機能を実現できていることから計画を半年間早めて取り組む予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度当初は資料収集のために参加する国際会議が決まっていない状況であったが,プログラムを検討した結果,イタリアで開催された国際会議COMPSAC 2017に参加することになり,旅費が予定を超過したため前倒し支払い請求を行った.その後,3月の研究発表を指導学生が行うことになり,更に旅費が必要になったため,研究分担者の配分額を充てることになった.次年度使用額は前倒し支払い請求額と大きくは変わらないため,平成30年度の使用計画に大幅な変更は必要ないと考えている.
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