研究課題/領域番号 |
17K00124
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
樫原 茂 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (60380739)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スマートフォン / Wi-Fi / Bluetooth / IoT / 探知 / 避難 / 消防 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,自治体の「避難準備情報」,「避難勧告」,「避難指示」発令時において,効率的かつ効果的な避難促進の声がけを支援するための未避難者(≒スマートフォン)の探知技術に関して研究を行なっている.平成29年度は,スマートフォンから発せられる情報の調査・分析・整理と,実際にWi-FiとBluetoothを対象に取得方法について研究を進めた.平成30年度は,(1) Wi-FiとBluetoothに加えて,LTEでの情報取得の可能性についての調査,(2)行方不明者の存在可能範囲の取得方法について取り組んだ. (1)では,安価なSoftware Defined Radio(SDR)デバイスを用いて,実際にその対象周波数の電波強度の取得を行なった.しかし,近距離で電話を行った時には電波強度の変動が少し確認できたが,距離が離れるとほとんどその変動を確認することは困難であった.実際,携帯電話の電波をもとにこのような検知を行なっている企業と議論等を行い,技術的,法的において様々な問題を解決する必要があることが明らかとなった.引き続き,調査を続ける. (2)においては,Wi-Fiの電波強度を対象として,存在可能範囲の取得方法について提案した.存在可能範囲を求めるためには,中心点を推定する必要があるが,使用する情報取得地点によって結果が異なるため,ランダム,平均,中央値を用いた推定を行い,ランダムよりも平均,中央値を用いた方が結果が良いことが明らかとなった.また別の実験において,オープンスペースにおいては,上空100mからWi-Fi情報を取得できることがわかり,一方,家や瓦礫においては30m以下でないと情報取得が難しいことも明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の目標であった(1)と(2)において,(1)に関しては,当初の予定ではスマートフォンを探知するための情報を何かしら取得することを目的としていたが,実際はSDRデバイスの性能および,その他技術的,法的問題において,解決すべき問題が多くあることが明らかとなった.現時点でできることとできないことが明確になった点は今後につながる有益な結果であったと言える.また,(2)においては,地上だけでなく,上空からの取得範囲に対する実験も行い,令和元年度に行う実証実験につながる結果が得られた.令和元年度はプロトタイプの作成を行い,実証実験の実施につなげる.
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度においては,これまで一部の検証を行うために作成したプログラム等を統合することにより,実証実験を行うための環境構築を行なっていく.LTEに関しては,現時点では上記で示したように様々な問題が残っている.そのため,LTEに関しては引き続き調査を行いながら,まずは,Wi-FiとBluetoothを対象として研究を進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
実験に使用するRaspberry Piや周辺センサデバイスは頻繁に新しいものが発売され性能が向上している.次年度で作成する実証実験用のプロトタイプを作成する際に,その時点での新しい機材で構築し,実験を行いたいと考え,開発機材を開発直前に購入するように変更した.
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