研究課題/領域番号 |
17K00127
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
稲村 浩 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (20780232)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | モバイルネットワーク / 負荷分散 / D2D |
研究実績の概要 |
地震が多発する日本では災害時のモバイルネットワークの負荷が問題になることがある。災害における迅速な避難のために,Earthquake and Tsunami Warning System(ETWS)に基づいた災害時同報配信システムが運用されている.我々は制約されたモバイルイルネットワークの制御信号を活用しスマートデバイス同士のD2D (Device to Device) 技術を用いて中継動作の端末側での負荷分散を行なうことにより疎通性と末端ノードまでの最小の通信遅延を確保することを目指している。
ETWSメッセージをProximity Serviceを用いて中継配信するシステムにおいて,さらなる端末側での負荷分散を目指し、参加するノードの負荷を下げるために,eNBと端末の位置関係を利用した中継端末選定手法を提案し配信時間を悪化させずにトポロジ全体の送信回数を軽減させる可能性を示した.大規模災害などが原因で一部の携帯電話基地局(evolved Node B: eNB)が機能停止しているような環境では,すべての端末へ緊急速報を配信することが困難である.よって,我々は端末間(Device to Device: D2D)での直接通信を可能とするProximity Services(ProSe)に着目し,eNBカバレッジ外の端末へ緊急速報を配信するための,ETWSにProSeを統合した同報配信システムを提案してきた.地震発生時の避難状況を再現したシミュレーション上に提案手法を適用すると,UE密度24人/km2のときトポロジ全体の送信回数を平均27%削減できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
LTE共通線信号を用いた, ETWS(Earthquake and Tsunami Warning System)に基づく同報配信機能を拡張した中継配信のモデルを活用し、同報メッセージの始点と終点での最適化手法について検討に着手し終点での行政境界への適合と、始点周辺での中継端末選定機能について方式を提案しシミュレーションにて一定の見通しを得ている。
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今後の研究の推進方策 |
制約されたモバイルネットワークでの制御信号を活用した中継動作の負荷分散において、配信範囲の制御手法について検討を深めると同時に、制約された網資源の悪用の可能性とその保護の側面についても検討を拡大し、効率良くロバストな網資源利用手法として知見を深めてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
採択された国際会議参加により今年度支出が全般に増加したが、機材購入ならびに旅費の支出の効率化による圧縮により若干の次年度使用額が繰り越された。次年度の検証用IoTデバイスの調達にて回復する見込みである。
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