研究課題/領域番号 |
17K00129
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
谷川 陽祐 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90548497)
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研究分担者 |
戸出 英樹 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20243181)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 無線LAN / ZigBee / 高密度配置 / ネットワーク間連携 / IoT |
研究実績の概要 |
当初の予定に沿って、まずZigBeeパケットの無線LANへの集約伝送法を確立した。 具体的には、まずZigBeeノードとして動作しながら無線LAN通信も行えるハイブリッドノードにおいて、無線LANチャネルが利用されていない時間割合である空き時間率を定期的に算出した結果から将来の無線LAN利用率を予測する手法を確立した。そして、予測した利用率を基に、ハイブリッドノードが無線LAN内のパケット伝送に影響を与えない範囲でZigBeeパケットを無線LAN側へ伝送する手法を確立した。さらに、複数のZigBeeパケットをアグリゲーションにより1つの無線LANパケットに集約することで、ZigBeeパケットの伝送が無線LAN側へ与える影響を抑制する手法も併せて確立した。シミュレーション評価により、無線LAN内の通信スループットを低下させることなくZigBeeパケットの伝送負荷を無線LAN側へオフロードすることによるZigBeeノードの消費電力削減を確認した。 また、複数無線LAN間連携による複数パケットの同時伝送法も確立した。まず、各局が近隣局から受ける電波の受信信号強度を管理し、その情報を近隣局間で共有する。この共有情報を基に、各送信局が既に伝送が開始されている他パケットと自局の送信パケットが同時伝送可能かキャプチャ効果の条件式を用いて判定し、同時伝送可能と判定される場合には同時に送信を開始することで、複数パケットの同時伝送を実現した。さらに、基地局において配下の各端末局が近隣局からどの程度電波干渉を受けているか把握し、電波干渉を受けやすく他端末局よりパケット伝送機会が得られにくい端末局に優先的に伝送機会を与えることで、伝送機会や通信帯域を端末局間で公平化させるパケット伝送法も併せて確立した。シミュレーション評価により、複数パケットの同時伝送を行うことによる無線LAN帯域の向上を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
予定していた全ての手法の確立と性能の実証を行っている。さらに、電波干渉を受けやすく他端末局よりパケット伝送機会が得られにくい端末局に優先的に伝送機会を与える手法等、当初予定していなかった手法も追加で確立している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定に沿って、ZigBeeパケットの無線LANチャネルへの集約伝送法については、無線LAN側からの伝送機会提供法およびZigBeeネットワーク内の伝送経路制御法について検討する。 また、複数無線LAN間連携による複数パケットの同時伝送法については、OFDMAやチャネルボンディング等の適用によるさらなるパケット伝送の効率化、通信の広帯域化について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は性能評価用計算機を購入予定だったが、計算機シミュレーション評価の効率化を進めることで、当研究室で既に所有している計算機のみでシミュレーションを行えたため、購入が不要になった。次年度はシミュレーションの複雑化、大規模化により計算機資源の増強が必要と考えられるため、本使用額を用いて性能評価用計算機を購入する予定である。
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