研究課題/領域番号 |
17K00130
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
角田 良明 広島市立大学, 情報科学研究科, 教授 (40233671)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アシュアランスネットワーク / モバイルアドホックネットワーク / Bluetooth MANET |
研究実績の概要 |
アシュアランスネットワーク一般設計方法論について検討した。その結果、局所的な変動情報に適応してサブネットワークの規模を上限と下限の間に収めるようにサブネットワークの構造を変化させることにより、リアルタイムにサブネットワークを部分最適化する一般リアルタイム自己組織化制御技術と、サブネットワークの代表ノード間で変動情報を交換し、ネットワーク全体からそれぞれのサブネットワークに収集された変動情報に基づいて上限と下限を変更することにより、ネットワーク全体を最適化する(強化すると呼ぶ)一般ネットワーク分割構造自律構成技術で構成できる見通しを得た。また、一般ネットワーク分割構造自律構成技術の具体化について検討し、その方法の骨格を得た。 この方法をMANETに適用するために、変動情報の変動を特徴づけるノード密度の変動率を定義し、ノード数と変動率に基づいて多様な端末移動シナリオを導出可能な移動モデルを提案した。また、ノード移動の類似度を導入することにより、提案した移動モデルから導出したシナリオではノードが時間的にも空間的にも偏在することを示した。 強化した MANET をフィールド実験で評価するために、MANET システムのノードに実装するソフトウェアを開発した。MANET システムでは、すでに提案済みのClassic Bluetooth と Bluetooth Low Energy (BLE) を組み合わせた通信手法を改善し、BLE のコネクションレス型片方向通信を利用した高速なClassic Bluetooth のコネクション確立手法を提案した。この改善により、コネクションの切断が頻繁に発生する環境におけるデータ伝搬時間をさらに短縮できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ノード数と変動率に基づいて多様な端末移動シナリオを導出可能な移動モデルについては、アシュアランスシステム研究会で発表した。しかしながら、アシュアランスネットワーク一般設計方法論を構成する一般ネットワーク分割構造自律構成技術について考案結果を得ているが、移動モデルによる最適化の効果の違いなど検討すべき内容が残っているため、外部発表には至っておらず、計画より遅れている。MANET システムについては、アシュアランスシステム研究会、ネットワークソフトウェア研究会などで発表済みであり、Classic Bluetooth と Bluetooth Low Energy (BLE) を組み合わせた改善手法をAndroid 端末と Raspberry Pi に実装するなどフィールド実験環境の構築は計画より進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
アシュアランスネットワーク一般設計方法論を構成する一般ネットワーク分割構造自律構成技術について外部発表するための準備を進める。また、もう一つの構成技術である一般リアルタイム自己組織化制御技術について検討する。具体的には、ネットワーク環境が急激に変動する場合にも適応可能とするために、変動情報の予測機構、制御機構、診断・回復機構等について検討する。さらに、このような技術の有効性を検証するため、MANETに基づいた災害情報伝搬システムを開発し、シミュレーション実験、フィールド実験によって評価したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)地域ICT振興型研究開発「アシュアランスシステム設計原理に基づいた草の根災害情報伝搬システムの研究開発」(フェーズⅡ)の研究分担者としてその研究開発費の一部を活用したため。次年度使用額は、アシュアランスネットワーク一般設計方法論に基づいたMANETシステムの開発と評価のために使用する予定である。
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