前年度に引き続き、アシュアランスネットワーク一般設計方法論の具体化として提案した動的なコンボイ形成手法についてシミュレーション実験で評価した。本手法は、車両がノードに対応し、コンボイ(複数の車両の隊列)がサブネットワークに対応する車両ネットワークにおいて、サブネットワークに属する複数の車両が無線通信により隊列を組んで走行するものである。車両ネットワークの規模、車両台数、車両の移動開始・終了地点、提案手法のコンボイ形成条件に対するコンボイへの車両の参加率を評価した。その結果、移動終了地点が一致する車両が多い場合、コンボイ形成条件が緩い場合において提案手法は有効であることを明らかにしている。 また、アシュアランスネットワーク一般設計方法論を検証するために改善・実装したBluetooth による MANET システムをフィールド実験で評価し、端末が密な状態でもコネクションが設定・維持できることを示している。 動的なコンボイ形成手法は、将来のMaaS(Mobility as a Service)のあるべき一つの形を提示するものであり、アシュアランスネットワーク一般設計方法論の応用として有力であると認識したため、令和3年度の科研費に下記の内容の研究課題を申請した。 複数の車両が近づいたときに車車間通信により「いつ」「どこから」「どこへ」向かうという情報を互いに交換し、その結果、目的地が同じ地域であれば、そのような車両群をコンボイとし走行させた後に、目的地を含む地域に到達すれば、コンボイから離脱し各車両はそれぞれの目的地まで走行する手法について研究する。そのための条件を明らかにするとともに、コンボイ走行への動的な加入及びコンボイ走行からの動的な離脱を行う方法を提案し評価する。本申請は残念ながら採択に至らなかったが、審査区分における採択されなかった研究課題全体の中で、上位20%に位置していた。
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