研究課題
本研究では,multi -cloud環境でのコンテンツ保有の手法として,単一ユーザから見た効率的なストレージ構成ではなく,複数のユーザが,共同で自分の保有コンテンツの管理を委託できる“Broker”を導入することで,クラウドの利用効率を高めることを目指している.本研究の初年度である平成29年度は,第1段階として複数のユーザによるコンテンツ共有が可能なマルチクラウドストレージ構成手法についての基礎検討を行った.多数のユーザが本システムに加入して重複するコンテンツを少数に減らすことにより,各ユーザは本来コンテンツを保有するために必要なストレージ容量の総和よりも少ない容量で仮想的に従来通りのコンテンツを維持でき,減少分のストレージコスト削減効果が期待される.また,各コンテンツのレプリカを複数のCPストレージに冗長配置すれば,コンテンツ保有の安定性・信頼性の向上が見込める.そこで,これらを考慮したBrokerの動作アルゴリズムを設計した.また,クラウドにおけるコンテンツの重複配置については,その容量を削減しつつ,同時にシステムのフォールトトレランス性に配慮したシステムの検討を行った.具体的には,一般的なコンピュータシステムにおいて使用されるRAID (Redundant Arrays of Inexpensive Discs)技術を応用し,コンテンツを複数のチャンクに分割した上で,複数のクラウドに重複して配置することで,vendor lock-in問題の解消とクラウド内情報漏洩に対するセキュリティの強化を狙い,さらにコンテンツ取得に要する時間の短縮を実現している.ここまでの検討結果について,計算機シミュレーションを用いて評価を行い,その有効性について検証したところ,概ね良好な結果が認められた.
2: おおむね順調に進展している
基本的な提案方式の確立を行い,さらにRAIDを応用したコンテンツ分散配置によるvendor lock-in問題の解消,セキュリティの強化,およびコンテンツ取得時間の短縮を狙う方式の提案も行うことができた.また,上記の方式の有効性を計算機シミュレーションにより評価し,概ね良好な結果を得た.
研究成果を積極的に国内外の研究会,国際会議にて発信し,さらなる改善に向けて外部の研究者とのディスカッションも加えながら研究を進める.また,平成30年度の計画では,29年度の提案をさらに改善することになるため,それにつながるように,大学院生などに対する指導やこれまでの成果の引き継ぎをスムーズに行う予定である.
物品費に計上したシミュレーション用計算機を購入した際に,当初の見積もりよりも安い納入価格を提案する業者があり,そちらの提供を受けた.また,論文の掲載料金を見込んでいたところ,当該論文誌のビジネスモデルの関係で最終的に料金が発生しないシステムであることが判明したため,その分の経費を使用せずに済んだ.これらの残った経費については,現在投稿中の関連論文の掲載料支払い,および研究発表のための国際会議旅費・参加費として有意義に用いる予定である.
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
Proc. 6th International Conference on Emerging Internet, Data & Web Technologies (EIDWT2018)
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Int. J. Space-Based and Situated Computing
巻: Vol.7, No. 4 ページ: 187-196
巻: Vol, 7, No. 4 ページ: 197-206
Porc. IEEE ICCE-Taiwan 2017
Proc. IEEE ICCE-Taiwan 2017
Proc. CISIS/VENOA-2017