研究課題/領域番号 |
17K00134
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
菅原 真司 千葉工業大学, 工学部, 教授 (90313410)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マルチクラウド / コンテンツ共有 / 情報通信ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は,複数のユーザが個々に契約したクラウドのストレージをまとめてbroker機能を持つサーバ,あるいはミドルウェアに委託し,コンテンツ共有の目的で記憶領域全体を有効に利用するための,統合型マルチクラウドシステムの設計と実装を行うものである. 2年目である平成30年度は,前年度の基礎検討を引き続き継続するとともに,brokerの持つ利用コンテンツの配置自由度を生かしたシステムの最適化を検討した.特に,コンテンツを分割して多数のクラウドに分散配置した際の,コンテンツのアップロードおよびダウンロード時における転送時間の最小化に関して深く検討を行った. 今年度検討した方式では,計算機システムの外部記憶の冗長化による信頼性向上技術のひとつであるRAID6を応用し,セキュリティ面にも配慮した上で,ほとんど発生しないと思われる複数のクラウドが同時に利用不可能になる状況においても正しくコンテンツの取得ができ,かつクラウドの通常動作時,異常時を問わず短時間でのコンテンツの移動が可能となることを目指した.計算機シミュレーション,および実際のインターネット上の商用クラウドサービスを利用した実験などにより,検討した方式が従来方式と比較して,クラウドの定常状態ではアップロードおよびダウンロード時間を短縮し,かつ異常時においても安定したコンテンツの取得と短いダウンロード時間を実現できることが確認できた. 研究結果については複数の国際会議,および論文にまとめて発表を行っており,成果の公開も十分に行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目の計画であるbrokerの持つ利用コンテンツの配置自由度を生かしたシステムの最適化について,予定通りに検討が進んでおり,国際会議,論文等で成果も発信できている.また,インターネット上で提供されている商用のクラウドシステムを複数用いて,実際にコンテンツのアップロード,ダウンロードを行う実験も行っており,次年度のシステムプロトタイプの構築をある程度前倒しして進めることができている.よって,本研究は概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の研究計画は,前述のようにシステムのプロトタイプの構築と評価であり,この計画の達成を目指す.また,これまでの研究成果をまとめ,国内の研究会,国際会議,および論文誌への投稿を進め,さらに成果の発信に努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度末にシミュレーション用計算機を購入する予定で予算配分したが,年度内に業者からの納入が間に合わなかったため,次年度の4月初頭に購入することにした.この計算機は5月現在,既に納入済みである.
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