研究課題/領域番号 |
17K00151
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
伊藤 正彦 国立研究開発法人情報通信研究機構, 統合ビッグデータ研究センターソーシャルビッグデータ研究連携センター, 主任研究員 (60466422)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 情報可視化 / 時空間情報 / 3次元可視化 / ソーシャルメディア |
研究実績の概要 |
本研究は、物理およびソーシャルセンサから得られる数値、テキストおよび画像データなど多様な大規模時空間データを連携探索するための対話的3次元可視化基盤技術を実現することを目標とする。大都市空間では、災害などが生じるたびに交通障害などの混乱が発生し、分析のための環境が求められている。しかしながら、GPS などの物理センサおよびツイッターなどのソーシャルセンサデータを相補的に用いた異常・要因分析のための対話的時空間探索環境に関する研究は未だ未発達である。複数の時空間データを自在に組み合わせた相補的分析のための3次元可視化基盤技術は申請者の独創的研究成果であり、応用システムはレジリエントな都市基盤の設計等に寄与できると考える。 平成30年度には、時空間可視化画面や探索インタフェース画面を自在に組み合わせてダイナミッククエリなどの機能を自在に実現するための連携の仕組みを検討した。また、複数の時空間情報を連携もしくは比較するための可視化空間の組み合わせ手法についても技術的な課題の解決方法を検討した。特に、Immersive Analyticsに関する国際的に著名な研究者が集まる研究合宿において、技術的な課題について議論を重ねた。 さらに、ソーシャルメディアから得られた豪雨による影響情報の地理空間ワードクラウドと、複数のレーダから得た豪雨の警戒情報、降雨状況の可視化を統合可視化する基盤技術を開発した。実際に台風やゲリラ豪雨が発生した場所日時を事例として用いた応用事例を作成しその有用性を示した。ソーシャルメディアからゲリラ豪雨の発生に伴う交通や人々の反応の変化を抽出および可視化することで豪雨リスクをより的確に把握することが可能になる。 また、人々の行動や考えの変化を視覚的に探索するための3次元情報可視化アプリケーション群とそれらを用いた探索事例を整理し発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度の進捗状況は、他の研究プロジェクト、所属センターの業務多忙のため、複数時空間可視化の連携表示および対話的探索基盤技術の確立に関し計画通りに進めることができず、やや遅れていると判断した。次年度は、予定していた研究目的の達成に向けて、本研究を推進していく。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は、イベントの文脈情報を探索可能にする時空間テキスト可視化、地理的制約および時間変化を考慮した大量画像可視化の研究に関する積み残し項目、および複数時空間可視化の連携表示および対話的探索基盤技術の研究に関する積み残し項目を推進する。特に、複数時空間情報の対話的比較・連携探索基盤技術の確立に関してはAR技術を利用した手法などの検討・実装を進め国際会議などで成果の公開を目指す。全体的に機能を絞り込み実現を目指す。また、応用に関しては小規模な探索事例で有用性を検証するのみにとどめ機能の実現を優先する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、現在までの進捗状況の部分でも述べたが研究がやや遅れていることにより、国際会議等での論文の発表がずれ込んでいること、開発機材の準備が間に合わなかったことが主な要因である。次年度は、研究成果の会議および論文での公表、開発機材購入にかかる費用として使用していく予定である。
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