研究課題/領域番号 |
17K00153
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
林 貴宏 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60342490)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ベクタ画像 / 類似画像検索 / 要部観察 |
研究実績の概要 |
本年度の主な実績は以下の2点である。(1)要部観察に基づく類似ベクタ画像検索手法システムを試作し、評価実験を行った。試作システムで用いる類似照合法は、昨年度開発したアルゴリズム(ベクタ画像を構成する個々のオブジェクトの輪郭形状の特徴を表現する2種類のヒストグラムを用いた照合法)を採用した。評価実験ではベクタ画像形式で記録される商標図形とクエリ図形で構成されるテストセットを用いた。実験の結果、試作システムにより、類似商標図形の局所的類似性を高い精度で判定できることが示された。(2)新しい類似検索手法としてハイブリッド照合法を開発し、全体観察に基づく類似ベクタ画像検索システムに導入した。ハイブリッド照合法は、既存の類似検索手法である間接照合法と直接照合法とをカスケード型に組み合わせた照合法である。ハイブリッド照合法は、高速に検索できる間接照合法の利点と、高精度で検索できる直接照合法の利点とを併せ持ち、高精度・高速なベクタ画像検索のを目的としている。開発したハイブリッド照合法の性能を評価するためにベクタ画像形式で記録された商標図形のデータセットを用いて予備実験を行った。予備実験の結果から、ハイブリッド照合では、直接照合より検索精度が多少低下するものの、間接照合よりも検索精度が向上し、また、検索速度は直接照合よりも大幅に改善することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、要部観察に基づく類似ベクタ画像検索システムの開発と評価実験を実施した。また、高速検索フレームワークである間接照合法をベクタ画像検索へと適用し、類似ベクタ画像検索システムを試作した。また、間接照合法と直接照合法とをカスケード型に組み合わせた照合法であるハイブリッド照合法を新たに開発し、試作システムに組み込んだ。ハイブリッド照合の有効性は予備実験により限定的に示されているが、大規模なデータセットを用いた追加実験が今後必要である。新たな検討課題が見つかっているが、計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
試作した要部観察に基づく商標図形検索システムは精度面、速度面でさらに改善の余地がある。そこで局所類似判定アルゴリズムの改善を図る。また、これまでに開発したハイブリッド照合法は、全体観察に基づく商標図形検索システムに対する導入効果が検証されている。一方で、要部観察に基づく商標図形検索に対する導入効果の検証は十分ではない。そこで要部観察に基づく商法図形検索においてもハイブリッド照合法を導入し、精度面、速度面の改善効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験協力者への謝金の使用を予定していたが、研究代表者の所属変更により、謝金の執行が事務手続き上煩雑となったため、未使用に終わった。実験は、ボランティアの実験協力者を募る方法に変更し、当初の研究実施計画に支障が出ないようにした。翌年度の助成金使用計画として、追加実験に係る物品購入、実験協力者への謝金等支出および研究成果発表旅費を予定している。また、平成30年度の未使用分については、翌年度の成果発表や必要物品購入に有効活用する。
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