研究課題/領域番号 |
17K00168
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊達 進 大阪大学, サイバーメディアセンター, 准教授 (20346175)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | MPI / SDN |
研究実績の概要 |
本研究では、MPIプログラムの特性とSDN(Software Defined Networking)のネットワークプログラム性を連動させ、MPIプログラムを高速に実行する並列分散計算実行基盤を実現する。具体的には、OpenFlow結合網配備クラスタ上で、MPI通信によって発生するネットワークフロー系列をOpenFlowコントローラでプログラム制御することで、MPI通信時間の縮減をねらう。本目的のために、申請者の科学研究費を通じて開発済みのフロー制御命令列ジェネレータが生成し、OpenFlowコントローラが入力として利用するMPI通信系列のフロー制御命令列を、MPIプログラムの計算実行に合わせて連動させる仕組み、すなわち、MPI実行時計算・通信連携機構を中核技術として開発する。初年度となる平成29年度は、本研究を推進していく上での関連研究および関連技術の調査から開始し、後半期頃より「課題1. MPI通信エンコード機能の設計・実装」を目的とした研究にシフトしていく。この研究計画に基づき、平成29年度は下記を行なった。 (ph.a) 関連研究・技術調査 本フェーズでは、次フェーズ[ph.b]MPI通信エンコード機能の設計・実装、[ph.c] MPI通信連携機能の設計・実装を視野に入れ、ネットワークQoS技術、インターコネクト構成技法、Omni-PathやInfiniBandなどのインターコネクト制御技術、MPI通信の高速化に関する関連研究についての調査を徹底した。とりわけ、ネットワークQoS技術については、フレームおよびパケットの優先制御技術、SDNやNFV(Network Functions Virtualization)の活用事例を中心に調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下のフェーズを本年度までの研究計画に定め、研究を実施した。 (ph.a) 関連研究・技術調査 (ph.b) MPI通信エンコード機能の設計・実装 その結果、(ph.a)については概ね予定通り完了済みであるが、(ph.b)については、本研究での利用を前提とするフロー制御命令列ジェネレータの改良・機能拡張を優先したため、当初予定の計画よりやや遅れている。しかし、(ph.b)については、当初予定より本年度および次年度で実施する計画であることに加え、この改良・機能拡張を前提とすることにより、効率的な設計が可能となることが見込まれており、次年度に計画通りの進捗に回復可能と見積もっている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度から継続となる「課題1. MPI通信エンコード機能の設計・実装」に取り組み、後半期から「課題2. MPI通信連携機能の設計・実装」へ移行することを計画する。この間、下記の(ph.b)、(ph.c) を実施する。 (ph.b) MPI通信エンコード機能の設計・実装:MPIライブラリより送出されるパケットあるいはフレームに当該通信コンテキスト情報を高速に埋め込むエンコード手法を設計・実装する。 (ph.c) MPI通信連携機能の設計・実装 :MPI通信派生のパケットにエンコードされた情報を抽出し、実行中のMPI通信を検知した上で、当該MPI通信に対応したフロー制御命令列を高速かつシームレスに実行するMPI通信連携機能を設計・開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究で中核技術として採用予定であった、申請者の前年度までの科学研究費補助金での成果であるフロー制御命令列ジェネーレータについて改良および機能拡張することにより、本研究をより効率的かつ効果的に推進できることが判明した。そのため、研究者自身の多忙要員もあるが、本年度実施の研究を関連文献調査に集約するとともに、実機での技術検証を仮想計算環境上での技術検証に留めたため次年度使用額が生じた。 次年度は、改良・機能拡張されたフロー制御命令列ジェネレータを中核とした技術検証を本格化させるため、技術検証に関連した物品日が当初より増となることを想定している。また、技術調査等の旅費も増を予定している。
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