研究課題/領域番号 |
17K00171
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
藤本 典幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90294165)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高性能計算 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,研究代表者が2016年12月に発表した,組み合わせ最適化問題の最適解を擬似多項式時間および多項式空間で厳密に求める新しい手法(逐次アルゴリズム)を,年々コア数の増加により性能が向上しているマルチコアCPUや,現在注目されており将来も有望な並列計算プラットフォームであるGPUを用いた並列処理により高速化することにより,様々な組み合わせ最適化問題を現実的なメモリ消費量と許容できる計算時間で解けるようにすることである. 本研究の並列化の対象である逐次アルゴリズム(研究代表者が提案)は,多倍長精度の複素数の加減乗除算,平方根演算,(整数のべき指数による)べき乗演算を実行するので,演算間の並列性の利用に加えて,これらの多倍長精度演算の並列化を考える.最終目標はマルチコアCPUとマルチGPUを備えた計算機において,その演算能力をフルに引き出すことであるが,その実現は容易ではないと考えられるため,マルチコアCPUのみの利用,単一GPUの利用,複数GPUの利用,CPUと複数GPUの併用,と段階を踏んで開発を行う. 令和2年度は,前年度に試作した多倍長乗算を行列積に帰着して実行する新しい実装のプロファイリングを行い,実行のボトルネックとなっている部分を特定し,その高速化のための試行錯誤を行った.多倍長乗算を行列積へと帰着することにより,GPUベンダー等が提供する行列積の(複数GPU対応の)並列実装を利用して多倍長乗算を高速に並列実行できるようになる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では,令和元年度末までに,複数GPUを用いた並列実装と,CPUと複数GPUの併用による並列実装を開発する予定であったが,開発できている複数GPU実装の性能がまだ十分ではなく,さらなる改善が必要な状況のため,進捗が少し遅れていることになる. 令和2年度は,新型コロナウイルス感染予防対策のため,登校などの研究活動が制限された時期が一時期あったこともあり,実験も思うように進まなかったため,進捗が遅れてしまった.
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今後の研究の推進方策 |
性能上のボトルネックとなる多倍長乗算を行列積へと帰着することにより,GPUベンダー等が提供する行列積の並列実装を利用して多倍長乗算をある程度高速に並列実行できるようになった.今後は,試作した行列積への帰着実装の性能改善を行いつつ,乗算以外の必要な演算を複数GPUに対応させた後,CPUとGPUの併用実装を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染予防対策のため研究活動が制限されたことにより研究期間を次年度まで延長することになったため,研究成果発表のための予算の一部を次年度に繰り越した.この繰越額と校費を合わせて,次年度に研究成果発表を行う予定である.
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