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2017 年度 実施状況報告書

アクセス情報も秘匿するキーワード検索可能暗号

研究課題

研究課題/領域番号 17K00177
研究機関茨城大学

研究代表者

黒澤 馨  茨城大学, 工学部, 教授 (60153409)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードキーワード検索 / 共通鍵暗号 / 辞書
研究実績の概要

クラウド・ストレージ・サービスは既に商用化されており、グーグル、アマゾンなど多くのIT企業によってサービスが提供されている。各ファイルは暗号化した上で保存した方が安全であるが、その反面、暗号化するとキーワード検索すらできなくなってしまう。この相反する2つの問題を解決する手段として、近年、共通鍵暗号に基づくキーワード検索可能暗号方式が活発に研究されている。この方式では、格納フェーズにおいて、クライアントはサーバに共通鍵暗号で暗号化したファイルの集合を格納する。検索フェーズにおいて、クライアントは検索キーワードを秘密にしたまま、そのキーワードを含むファイルを取り出す。
しかし、従来の方式では、クライアントが同じキーワードを2回質問したといった情検索パターンがサーバに漏れてしまう。また、検索キーワードwに対しサーバがファイルの暗号文C1, C3, C5を返したとすると、添字の集合(1,3,5)がサーバに漏れているということになる。本研究では、このようなアクセスパターン情報すら極力秘匿し、かつ効率の良いキーワード検索可能暗号方式を構成することを目的とする。
クライアントがキーワードwのリストW(辞書)を覚えている場合、効率は悪いがPrivate Information Retrieval(PIR)という方式を使うと検索パターンを秘匿可能であることが知られている。しかし、クライアントが辞書を覚えておかなければならないのは、非常に不便である。
そこで、本研究では、辞書不要で検索パターンを秘匿可能なキーワード検索可能暗号方式を開発した。さらに、弱い安全性を有する任意のキーワード検索可能暗号方式を、UC安全な辞書不要方式に変換する一般的な構成法を開発した。この変換によって得られる方式においては、検索キーワードwが存在しない場合、サーバはそれををO(1)の計算量で証明できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

通常のキーワード検索可能暗号方式においては、クライアントが同じキーワードを2回質問したといった情報が漏れる。これを検索パターンと呼ぶ。クライアントがキーワードのリストW(辞書)を覚えている場合、効率は悪いがPrivate Information Retrieval(PIR)という方式を使うと検索パターンを秘匿可能であることが知られている。しかし、クライアントが辞書を覚えておかなければならないのは、非常に不便である。
そこで、本研究では、辞書不要なキーワード検索可能暗号方式について検討した。従来、検索パターンを秘匿できる辞書不要方式は知られていない。また、辞書不要方式においては、検索キーワードwを含むファイルが存在しない場合、サーバはそれをクライアントに証明することが難しい。従来の方式においては、キーワード数をm、ファイル数をNとしたとき、O(N logmN)の計算量がかかってしまう。
これに対し、本研究では、まず、弱い安全性を有する任意のキーワード検索可能暗号方式を、UC安全な辞書不要方式に変換する一般的な構成法を開発した。この変換によって得られる方式においては、wが存在しない場合、サーバがはそれをO(1)の計算量で証明できる。また、w∈Wの場合、検索時間は元の方式の検索時間とほぼ同じである。次に、上記の方式を基に、検索パターンを秘匿できる辞書不要方式を開発した。これらの方式は、カッコーハッシュというテクニックに基づいている。

今後の研究の推進方策

本研究では、検索パターンを秘匿できる辞書不要方式を開発したが、まだ安全性を証明していない。そこで、まず、この安全性を証明する。
次に、効率のよい検索・アクセスパターン秘匿可能な方式を開発するため、サーバが複数の方式を検討する。最近、2台のサーバを用い、検索パターンを秘匿可能としたデータ検索方式が開発されている。しかし、データの書き込みはできない。そこで、本研究では、複数のサーバを用い、アクセスパターンを秘匿可能でかつデータの更新も可能なキーワード検索暗号方式を開発する。
また、サーバの不正を検出できる方式も開発する。

次年度使用額が生じた理由

当初計画より国際会議への出席回数が少なかったので、47,887円の繰り越しとなった。この分は、平成30年度の旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Efficient No-dictionary Verifiable Searchable Symmetric Encryption2017

    • 著者名/発表者名
      Wakaha Ogata, Kaoru Kurosawa
    • 雑誌名

      Financial Cryptography 2017, LNCS 10322, Springer

      巻: LNCS 10322 ページ: 498-516

    • DOI

      1007/978-3-319-70972-7_28

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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