| 研究課題/領域番号 |
17K00183
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| 研究機関 | 信州大学 |
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研究代表者 |
山本 博章 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (10182643)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | 検索可能暗号 / 部分文字列検索 / 有限オートマトン / DAWG |
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| 研究実績の概要 |
2018年度は下記の事項を実施した。
１．並列化および動的データに向けた省スペースな検索可能暗号の改良：並列化および動的データに向け，階層型ブルームフィルタと転置索引を組み合わせた手法の改良を行った。並列化に関しては，索引の構造をリストから木構造に変えることにより，並列検索を可能とした．動的データとは，データの更新が行われるデータである．従来法は，動的データに対応していなかったため，動的データを扱えるように改良を行った．動的データに対する検索可能暗号の安全性に関し，前方安全性および後方安全性が考えられているが，提案法はこれら両方を満たすように，従来法の改良を行った．
２．部分文字列検索に対応した検索可能暗号の改良：申請者は、部分文字列検索可能暗号に対し、DAWG(directed acyclic word graph)と階層型ブルームフィルタを組み合わせた手法を提案したが、提案法は効率さと安全性おいて問題があった。この問題を解決するため、DAWGの改良を行い、新たに検索可能暗号に適した改良型DAWGを開発した。改良型DAWGは、その動作を状態遷移がもつ記号だけを使って模倣することができる。この性質を使うと、従来法に比べ、安全性の高い、省スペースな検索可能暗号を設計することができる。今年度は、改良型DAWGの基本的性質を明らかにするとともに安全で効率的な部分文字列検索暗号を設計した。
３．より省スペースなデータ構造および高度なパターン検索に向けたアルゴリズムの開発：部分文字列検索可能暗号の安全性，効率さはベースとなるデータ構造に関係してくる．そのため，DAWGよりもさらに効率的なデータ構造を求め，ファクターオラクルの拡張版を設計した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者が提案した省スペース型検索可能暗号に対し、さらなる効率化および動的データに向けた改良を行った．また，DAWGを用いた部分文字列検索可能暗号に対し，DAWGを改良することにより、申請者が提案した従来手法よりも、安全で効率的な手法を設計することができた。さらに，暗号化データに対するより高度な検索に向けた基礎研究として，ファクターオラクルを用いた新たなデータ構造の提案，XMLデータの検索に向けた高速な正規表現検索アルゴリズムの提案を行った。
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| 今後の研究の推進方策 |
下記の点について研究を進める。
１．部分文字列検索可能暗号の拡張と実験的評価：DAWGを用いた部分文字列検索可能暗号として，文字列をブロック化し暗号化DAWGを構成する手法を提案したが，この手法は安全性や索引サイズにおいて問題があった．2018年度はDAWGを改良することにより、これらの問題を解決する新たな部分文字列検索可能暗号を設計した．今年度は，提案法の性質を詳細に解析するとともに実験的な評価を行う．さらに，強固な安全性を求め，不正な動作を行うサーバに対しても安全性を確保できるように提案法を改良する。
２．動的データに対応した検索可能暗号の設計：提案法は静的データに向けた手法となっている。すなわち、あらかじめ、すべてのデータが与えられ、追加・削除等は考えていない。多くの応用においてデータの更新が行われる。そこで、本研究では、データの更新が発生する動的なデータに対応した部分文字列検索可能暗号の開発を目指す。
３．省スペース化に向けた部分文字列検索可能暗号の改良：ファクターオラクルはDAWGよりもサイズの小さい有限オートマトンとして実現できる。この結果を利用し，ファクターオラクルを用いて，さらなる省スペース化が可能かどうか検討する。
４．より柔軟な検索クエリに対応した検索可能暗号の構築：ブルームフィルタを用いた有限オートマトンの暗号化を応用し，正規表現などのより柔軟な形をしたクエリに対する検索可能暗号の構築を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
【次年度に使用額が生じた理由】DAWGの改良およびそれを用いた部分文字列検索可能暗号の基本設計に多くの時間を費やしたため，予算の執行は予定より少なめであった。残額は次年度の予算と合わせて執行する。
【使用計画】実験用のコンピュータ及び関連するソフトウェアを購入する。実験では大学院生に補助をお願いする予定であるのでその謝金としても使用する。また，関連する学会への参加費，旅費として使用する。論文投稿に当たっては，英語論文の校閲費，論文の投稿料として使用する。
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