研究課題/領域番号 |
17K00186
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
山場 久昭 宮崎大学, 工学部, 助教 (60260741)
|
研究分担者 |
岡崎 直宣 宮崎大学, 工学部, 教授 (90347047)
油田 健太郎 宮崎大学, 工学部, 准教授 (30433410)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | バイオメトリクス / 深層学習 / 筋電位 / 個人認証 / 携帯端末 |
研究実績の概要 |
筋電位を用いた個人認証システムの開発を目指し、主として認証情報として用いるジェスチャ(ハンドサイン)の選定と選定されたジェスチャの筋電位測定を行うとともに、それらを識別する手法の検討を行ってきた。 ジェスチャの選定にあたっては、日本語手話で用いられる指文字を候補として検討を進め、5本の指、および、手首を折り曲げているか否か、という視点から指文字の分類を行った。その上で、ジェスチャとしてどのような形状が適しているのか検討を図った。その結果について、国際会議で発表を行った("Introduction of Fingerspelling for Realizing a User Authentication Method Using s-EMG")。その他、1編の研究報告を宮崎大学工学部紀要に発表している。 一方、筋電位を個人認証に用いる上で、予め登録されているジェスチャの波形とシステムに入力された波形を比較し、同一人物による同一のジェスチャであるのか否かを判定する手法が必要である。その実現のため、まず、波形の特徴を表す適切な特徴量の選定と、それを精度よく取り出す方法として相互相関に基づく手法を開発した。その上で、既に検討済みの、サポートベクターマシン、および、Dynamic Data Warping 法を利用 した2つの方法を用いて、ジェスチャを利用した個人認証を開発を行った。これらのその成果は、国際会議で発表を行った("Evaluation of User Identification Methods for Realizing an Authentication System Using s-EMG")。その他、2編の研究報告を宮崎大学工学部紀要に発表している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は、認証情報として用いるジェスチャ(ハンドサイン)選定のための筋電位測定と、それらを識別するための手法の開発を行った。 ジェスチャの選定にあたっては、日本語手話で用いられる指文字を候補として検討を進め、5本の指、および、手首を折り曲げているか否か、という視点から指文字の分類を行った。その上で、ジェスチャとしてどのような形状が適しているのか検討を図った。その成果は、国際会議で発表を行った("Introduction of Fingerspelling for Realizing a User Authentication Method Using s-EMG")。その他、1編の研究報告を宮崎大学工学部紀要に発表している。 一方、筋電位を用いた個人認証の手法(予め登録されているジェスチャの波形とシステムに入力された波形を比較し、同一人物による同一のジェスチャであるのか否かの判定を行うする手法)の開発を行った。具体的には、前年度に行った、筋電位の波形の特徴量の検討、および、それらを精度よく取り出す方法として相互相関に基づく手法を開発・適用するとともに、まずは既に検討済みの、サポートベクターマシン、および、Dynamic Data Warping 法を利用した2つの方法を用いて、ジェスチャに基づいて個人認証をのための判定を行う手法をまとめた。その成果は、国際会議で発表を行った("Evaluation of User Identification Methods for Realizing an Authentication System Using s-EMG")。その他、2編の研究報告を宮崎大学工学部紀要に発表している。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度までの成果に基づき、認証に用いるジェスチャを確定させる。それに先立ち、購入した筋電位計測装置を用いて、必要な追加の測定実験を実施する。現在、学生アルバイトを雇用し、筋電位計の使用方法をのガイダンスを行いつつ、既に計測を始めている。そのために謝金として予算を執行する予定である。同時に、より多くの被験者を確保するため、謝金を用意して被験者を募る。また、計測の際のデータ記録に必要なノート型PCがやや能力不足であるため、状況によってはより高性能なものを購入することを検討している。また、これら学生アルバイトが、測定したデータを用いた解析を行えるよう、環境整備を行う。この作業に必要なPCについては、他の予算で購入したものが使用可能である。ただし、いくつかのソフトウェアをインストールするなどの作業が必要である。 一方、深層学習を用いて、似ている波形、似ていない波形を識別する手法の開発を並行して進める。深層学習用の機能を備えた計算機ハードウェアについては、既に、その確保のめどが立っている。そこで、この計算機を用いて、筋電図の波形データから、その元となったジェスチャが登録されたものと同一である か否かに基づいて認証を行うプログラムを実装する。同一と判定するか否かは、ニューラルネットワークによって学習させた結果を用いる。このプログラムは PC 上で開発し、まず、本手法による判定精度を確 認する。False positive(本人でないのに、本人である判定される)と False negative(本人であるのに、本人でないと判定される)の発生率に基づいて、正当な判定の精度が上がるように、パラメータの調整を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
旅費が予定より節約できたこと(参加した国際会議の開催場所が国内であったこと、海外で開催された会議については他の予算を旅費として使用できたこと)と、筋電位の計測に必要なより高性能なPCの購入を検討していたが、測定に支障が出るほどの緊急性はなかっために見送ったこと、筋電位測定の被験者が学内の学生だけにとどまり、謝金が発生しなかったことにより、次年度使用額が生じた。 今後の使用計画としては、まず、深層学習を用いた認証手法の実装に必要なハードウェア・ソフトウェア環境の構築のための支出を行う。また、筋電位の計測に用いているノートPCがやや能力不足であるため、研究の進捗に応じて必要となった場合は、新しいものを購入することを検討する。一方、昨年度よりさらに積極的に学会等での研究発表の機会を増やし、これに計上している旅費を当てる。また、昨年度は十分に実施できなかった、多くの被験者を対象とした筋電位 の測定実験を行い、これに際して昨年度予定していた謝金を執行する。
|