研究課題
検索可能暗号は,クラウドに預託した暗号文から,暗号化したクエリを用いて,暗号化したまま所望の情報を検索可能とする暗号である.2000年から研究が開始されて以降,高機能暗号の中でも実用化に近い技術として,盛んに研究されている.本研究では,検索可能暗号のIoT環境での実用化を想定し,モバイル機器からの鍵漏洩(鍵紛失や攻撃)に対策するため,鍵更新機能付き検索可能暗号を研究する.検索可能暗号は,暗号化時と検索時に異なる鍵を用いる公開鍵系(PEKS:Public Key Encryption with Keyword Search)と,同じ鍵を用いる共通鍵系(SSE:Searchable Symmetric Encryption)からなり,まずは,安全性証明に関し多くの実績がある,PEKS系の鍵更新機能付き検索可能暗号(KU-PEKS)から研究を開始した.本年は3年計画の2年目にあたり,①:1年目で検討し国際学会に投稿したKU-PEKSの論文が採録となり発表を行った.この論文では,KU-PEKSの2つのモデル(公開鍵更新モデル,鍵隔離モデル)を整理して,それぞれ一般的構成を提案し,理論的安全性を評価している.また,②:①で提案した方式を,妥当な前提の具体方式とした上で,ラズベリーパイで実装し,IoT環境での実現可能性を確認した.そして,その結果を含めて,国際学会のポスターセッション,および国内会議にて発表した.③:①②をとりまとめ,国際ジャーナルに投稿中である.さらに,④:共通鍵系(SSE)の鍵更新機能付き検索可能暗号について,まずは要件とモデルを整理し国内学会にて発表した.①~③よりさらに軽量実装が期待できる.具体的な提案方式については,3年目に研究する予定である.
2: おおむね順調に進展している
公開鍵系(PEKS)については,国際会議発表および,ジャーナル投稿を実施し.一定の研究成果を上げたと考えている.ジャーナルは現在査読中である.共通鍵系(SSE)については.最終年度に向け,研究を開始した.
今年度は,3年計画の最終年度である.公開鍵系(PEKS)については,ジャーナルの採録を目指す.共通鍵系(SSE)については,研究を進め,国内研究会で発表する.そして,これまでの提案方式の評価,整理を実施する.
理由:ネットを介した打ち合わせを多用したため,出張費が削減できた.使用計画:研究調査,研究発表のため,国内外学会参加の旅費,学会登録費,書物購入,その他費用に支出予定.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
23rd Australasian Conference, ACISP 2018, Wollongong, NSW, Australia, July 11-13, 2018, Proceedings(Springer)
巻: 10946 ページ: 341-359
10.1007/978-3-319-93638-3