研究成果の概要 |
本研究は「なる」という日本語動詞の生態を一方では古代からそれが経てきた歴史的な時空の中で検討、他方は世界の他の言語における「なる相当動詞」の存在/非存在の確認,存在なら日本語の「なる」の場合といかなる生態上の異同があるかを検討した。得られた知見によると、日本語の動詞「なる」は本来(アルタイ語族のトルコ語、モンゴル語などに似て)<出現・出来>と<移行・推移>の両面の意味を有していた(従って、ドイツ語のwerdenや古英語のweorthanに似た意味構造の語であった)のが、現在では<移行・推移>の意味中心(従ってフランス語のdevenirや英語のbecomeに似た意味構造の語)に変貌したと言える。
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