研究課題/領域番号 |
17K00208
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研究機関 | 常磐大学 |
研究代表者 |
中原 史生 常磐大学, 総合政策学部, 教授 (10326811)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイルカ科 / 鯨類 / 音声コミュニケーション / 社会的知性 / 比較認知科学 |
研究実績の概要 |
本研究は、マイルカ科の鯨類を対象に、向社会行動および欺き行動時における音声コミュニケーションの種差を観察と実験から明らかにし、鯨類の社会的知性の進化的基盤を探ることを目的としている。29年度は、主に野外観察のための予備調査、飼育下における観察、実験のための装置の準備、被験動物の馴致、訓練、実験を行った。 野外調査は、北海道羅臼周辺海域において行った。対象種はシャチであった。調査船上から目視観察、ビデオ撮影、曳航式水中音ステレオモニター装置を用いた鳴音収録を行った。特に捕食行動、性行動に注目して観察を行ったが、観察機会は限られていた。現在、社会的性行動時の鳴音に注目をして解析を行っている。千葉県銚子沖ではカマイルカを対象とした予備調査を行ったが、残念ながら対象種を発見することはできなかった。沖縄県北部海域で計画していた予備調査は、今年度は行うことができなかった。 飼育下では、アクアワールド茨城県大洗水族館においてハンドウイルカ、オキゴンドウ、カマイルカ、名古屋港水族館においてシャチ、九十九島水族館においてハンドウイルカの行動観察(ビデオ撮影)と鳴音収録を行った。鳴音と行動との関係について現在解析中である。また、5つの水族館において、鯨種ごとの向社会行動と欺き行動に関する聞き取り調査を行った。水族館における実験に関しては、実験装置の開発を中心に行った。実験装置は、まずハンドウイルカを対象に想定して作成を行った。オキゴンドウやシャチを対象とした装置は、サイズ、強度を検討しながら作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
野外調査は、沖縄県北部海域でも実施する計画を立てていたが、調整不足で実施することができなかった。30年度は日程調整を行い、調査を実施する予定である。 水族館での実験は、名古屋港水族館、南知多ビーチランドなどで行う計画を立てていたが、研究代表者の学務増加に伴い、十分な出張期間を確保することが困難であった。30年度は日程調整を綿密に行い、これらの水族館でも研究を実施する。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は上記の水族館との協力を維持しつつ、研究を推進していきたい。野外調査においては、研究協力者の協力を仰ぎながら、精緻なデータ収集を行っていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究始動が遅れたため、野外調査(沖縄北部海域)の実施が次年度にずれ込み、また、水族館での観察、予備実験の回数が予定より少なくなってしまった。次年度早々にこれらを実施する予定である。
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