研究課題/領域番号 |
17K00210
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
森島 泰則 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20365521)
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研究分担者 |
高野 陽太郎 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20197122)
直井 望 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20566400)
ローランド ダグラス 早稲田大学, 理工学術院, 准教授(任期付) (60749290)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知資源配分 / 第二言語理解過程 / 文章理解過程 / 心的イメージ処理 / 推論処理 |
研究実績の概要 |
本研究は、外国語(第二言語、以下L2)を理解する際に、その言語処理が思考に及ぼす影響に関する研究で、L2処理による認知負荷によって、思考作業への干渉があるのかを明らかにすることを目的としている。脳機能計測を用いた一連の実験研究の結果、L2理解過程においては、L1であれば行われる推論思考が行われない傾向にあることが明らかとなった。次に、道徳ジレンマ判断における心的イメージへの影響に関する研究の結果、操作的に心的イメージを促進させることによって、L2における功利主義的判断(多数を救うために少数を犠牲にする)への傾斜が低減することが示唆された。これは、L2理解過程において、心的イメージ形成の認知負荷が大きいため、通常十分には行われないことを示唆する。さらに令和4年度は、第二言語(L2)である英語のコロケーション処理における第一言語(L1)である日本語の影響を検討する研究を行った。この研究では、英語コロケーションの適切性判断課題を用いて、第一言語(L1)の影響を検証した。英語を母語(L1)とする参加者と英語学習者(L2)の参加者が、3種類の英語コロケーション(英語ベース、日本語ベース、ランダムな組み合わせ) に対して、英語コロケーションとしてどれだけ自然かを評価した。結果、日本語ベース・フレーズの評価値は、L1参加者よりL2参加者の方が有意に高かった。この結果から、L2英語話者において、L1(日本語)のコロケーションに関する知識がL2(英語)コロケーションの判断に影響を及ぼすと言え、L2理解過程において、L1の言語知識が介在することが示唆された。 これらの研究成果を総括すべく、構築-統合モデルなどの文章理解モデルを基盤的アーキテクチャーとして、認知資源の配分メカニズム、受動的プロセス・方略的プロセスを組み込んだ第二言語処理モデルの概略を提示する論文を大学紀要に発表した。
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