研究課題/領域番号 |
17K00211
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
高橋 宗良 玉川大学, 工学部, 准教授 (70407683)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 選好判断 / 視覚情報処理 / 魅力度評価 / 同化効果 / 対比効果 / 顔 / 周辺視 / 表情認知 |
研究実績の概要 |
魅力度に基づく選好判断時に、注意を向けた評価対象の魅力度に対して、注意を向けていない周辺の非評価対象の魅力度が潜在的に影響を及ぼすことがある。この影響には同化効果と対比効果のふたつがあることがしられているものの、その発生メカニズムは不明である。本研究では、潜在的な価値判断に関与する大脳基底核と顕在的な価値判断に関与する眼窩前頭皮質をはじめとする報酬関連領域の活動と、それらの情報を計算・統合する領域としての前帯状皮質の活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で計測し、それぞれの領域の関係性を明らかにすることで、選好判断における魅力度の同化効果と対比効果の発生機序と同効果の切り替わりを制御する仕組みを明らかにすることを目的とする。本年度もCOVID-19流行の影響を受けて所属機関でのヒト実験に制限があったため、オンラインで行動データを収集可能にする実験プラットフォームの構築と整備を行った。具体的には、オンラインでのアンケート、画像・動画評価(反応時間計測)、実験データの暗号化(サーバへの保存)などの機能実装を行った。また2画像のモーフィング合成手法も整備し、少ない画像データからパラメトリックに調整した画像データ(表情や印象を変化)を合成したデータベースを整えた。作成したオンライン実験システムを用いて、被験者の基本6表情(怒り・嫌悪・喜び・悲しみ・驚き・恐怖)の識別域とリスク行動への選好との関連を検討する予備的実験を行い、喜びの表情認知とリスク選好との間に相関性を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年からのCOVID-19感染症拡大の影響で、本年度も所属機関のヒト実験を必要回数実施することは難しく、解析完了に必要とされるデータ数を収集することはできなかった。そのためやむを得ず研究期間の延長を申請し受理された。以上より「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に整備したオンライン実験環境と、画像データベースを活用し、次年度はオンライン実験を並行することにより、多角的に課題解決を目指すこととする。具体的には、魅力度の同化・対比以外にも、顔の印象判断の側面として重要とされる「信頼度(trustworthiness)」「支配性(dominance)」などに着目した場合の同化・対比についても検討項目に追加する。その実験環境整備にはある程度目処がたった。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行の長期化により、所属機関においてヒト実験の再開の目処が立たず、予定していたfMRI実験が実施できなかった。予算は次年度に実施予定のオンライン行動実験とfMRI実験のための人件費・謝金と、データ保存用メディアの購入および成果報告費用等に使用する。
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