従来の二分法的な検討方式から脱却した形で,自閉症傾向は個人の一個性であるという新たな観点から自閉症傾向の感覚情報処理における特異性を網羅的に検証した。そして,各自閉症の下位特性に特有の,視覚,聴覚,触覚における感覚情報処理特性の存在の一端を明らかにした。このことは,診断を受けた方を含む自閉症傾向が強い方は独自の知覚世界を構築する仕組みが存在することを示唆するのみならず,そのような方々において最適な感覚情報処理を可能にする提示手法や訓練プログラムの開発の提言に寄与するという社会的・応用的意義も持つと考えられる。
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