研究課題/領域番号 |
17K00221
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
カラン 明子 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳機能解析研究室, 主任研究員 (80395178)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | fMRI / 音源定位 / 聴覚 / 音空間 / 神経機構 |
研究実績の概要 |
実世界では私たちは複数の音を同時に聞き、認識・処理している。複数の音源が混在している環境で、音源を分離し、関心のある音を選択的に処理する能力(選択的注意、例、カクテルパーティ効果)は、人間の大切な能力の一つであり、選択的注意の低下は、難聴者や高齢者のQOLに直結している。それ故、複数音源混在環境における音源定位の神経機構の解明は、重要な研究課題の一つであると言える。本研究では、音源が複数の場合の音源定位の脳内機構の解明を目指している。 本年度は、まず、昨年度末に納品された36チャンネルスピーカーアレイシステムを実際に運用するためのシステム構築を行った。 次に、行動実験を通してfMRI実験のための音刺激・実験デザインを決定した。fMRI実験実施日とは別の日に、実験参加者の耳に装着したミニチュアマイクでスピーカーから提示した音を録音することにより、ヘッドホン聴取時にも立体的音空間が再現できるバイノーラル録音刺激を作成した。 fMRI実験では、水平面に位置する音源聴取時の脳活動を360度全方位に渡って測定した。全方位に渡る脳活動測定はこれまで行われていない。データを分析した結果、左右の上側頭回で水平位置に対応した血流変化が見られることが分かった。結果をまとめ、2019年9月に実施される国際学会で報告するとともに学術誌への投稿を行う。 これらの知見は、複数音源混在環境における音源定位の神経機構の解明に役立つことが期待される。実験に関しては、生態倫理・人権に十分な配慮をして実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度納品された36チャンネルスピーカーアレイシステムを実際に運用し、ヒトの音源定位の脳内機構を解明するためのfMRI実験を実施し、結果を国際会議で発表することが可能となった。これらのことから、おおむね順調に進展していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、音源の位置数と脳活動の相関関係の解明を目指した、行動実験・fMRI実験を実施する。その後、複数音源の相対的位置が脳活動に与える影響の解明、選択的注意が複数音源の脳内表現に与える影響の解明を目指した実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の旅費は、国外ではなく、国内で実施された国際学会への参加のために利用したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、2019年9月にチェコ共和国で開催される国際学会に参加するための旅費の一部として使用する予定である。
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