視覚に比べると、聴覚の空間知覚の脳内機構の解明は遅れている。本研究では、複数音源知覚時に選択的注意の与える影響の解明・水平360度全方位に位置する音源の脳内処理メカニズムの解明を目指しfMRI実験を実施した。その結果、音源が右もしくは左ではなく左右両方に位置する場合、聴覚の空間知覚に関連する脳の部位(上側頭回後部)が活性化すること、左右から音が聞こえる時にどちらか片方に注意を向ける場合、楔前部・上側頭回後部で脳活動が変化すること、水平360度全方位に対する聴覚空間処理の脳内メカニズムの一部が明らかになった。これらの結果は、人間の聴覚空間の神経機構研究の解明に寄与すると考えられる。
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