研究実績の概要 |
ベクトル空間における主成分分析では、最適化関数J(U)=f([X]:U)+λg(U)を停留化し、主成分を記述する直交行列である主成分行列U を計算する。ここで、g(U)はUに関する制約条件である。このとき、停留値Uがデータ集合[X]の決める自己対称行列の固有行列になる。したがって、特異値分解の算法を利用して容易に主成分を計算することが可能となる。一方、3次元テンソルの主成分を、Tucker-3 分解に基づいて計算する場合には、最適化関数J(U,V,W)=f([X]:U,V,W)+λg(U)+λg(V)+λg(W)を最適化し、テンソルの主成分を決める3つの主成分行列 U,V,Wを計算する必要がある。しかし、f([X]:U,V,W)がU,V,Wに関する3重線形型式であるため、上式の停留値を与える主成分行列U,V,Wは、ベクトルの主成分解析の場合と異なり、それぞれが、自己対称行列の固有値問題とはならない。関数J(U,V,W)を最適化する従来の方法は、U,V,Wを周期的に順次繰り返し最小化する反復法が利用される[5,9]。そこで、データ集合[X]から、テンソル主成分を決める行列U,V,Wを直接計算する緩和法を導き、計算が簡便で近似精度の高いテンソル主成分分析法を構築した。大量データの高速分類や、入力と大量の辞書データとの高速照合・高速検索の実現には、概略データを使って事前大分類を行うことが効率的である。概略情報は情報圧縮を行って構成される。臓器などの形状情報の概略情報は概略形状と呼ばれる。主成分分析の結果を利用して、概略形状の計算法と近似の精度について理論解析と数値解析を行い、有効な圧縮法を構成した。
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