研究課題/領域番号 |
17K00226
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
井宮 淳 千葉大学, 統合情報センター, 教授 (10176505)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 多重線形型式 / データ依存処理 / 主成分分析 / 形状解析 / 臓器顕微鏡下画像 / 縦状解析 |
研究実績の概要 |
主成分分析の結果を利用すれば、元のデータを概略的に表現する情報を抽出できると共に、データを近似する線形部分空間の次元を選択的に制御することによって概略形状の幾何的性質を能動的に変化させて、情報濾波の精度を制御可能となる。従来のパターン認識理論は、標本化されてさらにベクトル表現された情報に対して構築されている。一方、医用・生命画像解析で対象とする臓器や細胞、さらに細胞の中の構造は、位相構造・幾何構造を併せ持つ、3次元空間分布である。そこで、3次元情報を多重線形型式で直接表現した情報を対象にパターン認識理理論を拡張するために、以下の点を中心、概略形状の計算法と近似の精度について理論解析と数値解析を行った。 1.固有値の順序に基づいた主成分行列の決まる固有空間の配置と、近似概略形状の近似度との関係を定量的に評価した。 2.計測されるデータは幾何学的な微小変化を受けている。このような微小変化に対して不変な概略形状を算出するために必要な主成分の数の推定法の確立した。 3.上記2点の成果に基づいて、目的形状を大量のデータの中から発見する高速検索法の開発し、臓器を対象とした多元多次元医用画像ならびに、着色固定顕微画像から、病変部分を推定抽出する算法を開発した。 当初の成果に加えて、各デーtの縦状解析の結果を比較するために、時系列内での変動も含めて、時系列データ画像同士の差異を定量化する算法の必要性を明確化するとともに、時系列画像データの類似検索法を構成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
固有値の順序に基づいた主成分行列の決まる固有空間の配置と、近似概略形状の近似度との関係を定量的評価法を構成し、幾何学的な微小変化に対して不変な概略形状を算出するために必要な主成分の数の推定法の確立した。また、病変部分を推定抽出し、その時間的変化を追跡する縦状解析手法を輸送原理に基づいて開発した。これらの成果により、時系列データ間の差異を定量化する算法の必要性を明確化するとともに、時系列画像データの類似検索法を構成した。
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今後の研究の推進方策 |
線形なパターン認識理論では、主成分分析によってカテゴリとして計算され線形部分空間を辞書として利用し認識・分類を行う。旧来の部分空間法によるパターン認識の手法を発見科学に適用するためには、辞書となる線形部分空間を計測データの性質に合わせて適宜更新する必要がある。ベクトル主成分分析では、すでに、ヘビアン学習則に基づき、主成分を入力に合わせて更新する算法が提案されている。そこで、以下の点を中心に、逐次更新型のテンソル主成分法を構築する。 1.ヘビアン学習則のテンソル入力への拡張 2.辞書要素として利用する線形部分空間の最適次元の推定法
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度中は、主に理論解析を中心に研究を進めた。そのため、中規模の物品購入なく、また、海外出張も少なかった。最終年度に向けて執筆した論文が多数国際会議に採択されている。さらに、成果に基づく小規模国際会議を、ニュージーランドにいて大規模国際会議と併催することを計画しているため、海外渡航旅費として次年度に持ち越した。
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